2002年11月10日



 今年の紅葉は例年より遅いそうで、観光地によっては近場でも楽しめるところもあるようです。さて、本日の友達の輪にはトンボや野草の研究家である長須房次郎さんよりご紹介頂いた斉藤晃さんにお話を伺ってまいりました。斉藤さんは「米のあきら」の会長をされており、長須さんとは尋常小学校からの同級生だそうです。

米のあきら
会長 斉藤 晃さん
本誌取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。長須さんから無二の親友と伺って参りました。本日はよろしくお願いたします。


【斉藤(敬称略)】長須さんの生家はこの近所でしたから、私たちは吉田第一尋常高等小学校で同級生として一緒に過ごしました。卒業後の昭和十七年に現在の幸手商業高等学校の前身である埼玉県立幸手実業学校に二期生として入学いたしました。当時の実業学校は五年間のカリキュラムでしたから、現在で言えば中学校と高校を一緒にしたようなシステムでした。ですから、吉田第一尋常高等小学校六年生においては受験勉強をした覚えがあります。今流ならばお受験ですね。(笑い)しかし、戦争で一年間卒業が早められてしまい充分な学生生活を過ごすことが出来ませんでした。

【高木】代々お米やさんだったのですか?

食糧難の時代
  すべて配給制

【斉藤】私で二代目になります。父の背中を見てこの道一筋で歩んでまいりました。もともと父は精米業を営んでおりました。その後戦争が激しくなり、戦争が終わって食糧難の時代が来るのですが、当店がお米の配給所としてこの地域の担当をしました。若い人たちはわからないと思いますが、米の生産販売が自由化時代を迎えたのがわずか七年ほど前です。それまでは昭和十七年に始まった、戦時下の食糧の確保を目的とした食管法に規制されてきました。特に戦時中、戦後の食糧は配給制になっていて、米は一人当りの量が定まっており、公定価格が決められていました。配給以外の売買は罰せられ、配給米に対して闇米と呼ばれ闇行為といわれました。戦時中の配給米は毎月十キロが配給される計画でしたが、食糧不足から年に2〜3回滞ったということもあったそうです。生産者である農家で斉藤晃さんさえ、自分で作った米の販売が自由にできないうえに、自分で食べる米さえ、人間数に比例して「保有米」を残して残りは強制的に国へ供出販売することが義務づけられました。戦時中、そして戦後も米を自由に持ち運びできないため、自分で食べる米を供出し、それを食券に替えて持ち歩いたこともありましたね。今では想像できませんね。でも、同じような食糧難がアジアの近い国でも起きていますが、それは厳しいものだと思いますよ。

【高木】大変な時代だったのですね。その後、お米販売一筋で現在に至っているのですね。お店のネーミングはどなたが?

マツキヨよりも早い?
   自分の名前の店

斉藤「米のあきら」という名前は私が考えました。自分の名前をそのまま店の名前にしたのは二十五年以上も前のことですから、マツモトキヨシさんよりも早いかもしれませんね。(笑い)わかりやすくてすぐに覚えてくれるので、いいネーミングだと皆様からよく言われます。現在は息子が社長となり、娘やパートさんなどの協力も得ながら家族ぐるみで商いをさせていただいております。家族に言わせると私の趣味は「人と話すこと」だそうで、私はジョイフルアネックス店で「看板娘」ならぬ「看板じいさん」として(笑い)おいしい召し上がり方などのアドバイスをさせていただいております。日本語が通じるところでしたら見知らぬ誰とでもしゃべって「友達の輪」?を広げようとしているのですが…さすがにアメリカに行った時はそうはいきませんでした。孫がアメリカの大学に通っているので行ったのですが、ツアーではないので観光地に行っても日本人が見つかりません。英語は出来ないので、話しかけることができるのは家族だけ。かなりいつもより口数が少なかったと思います。おかげで日本に戻って直後にお店に出たときは、さらに「輪」をかけて喋るようになっていたかもしれませんね。(笑い)
 またお米の話に戻りますが、現在当店では「ご飯をおいしく食べて健康に!」を常に考えて、販売していますので、店頭には減農薬米など十銘柄の玄米を並べ、健康に良いつき方(分搗き米)やおいしい炊き方などを提案させていただいております。お客様の目の前で精米する店頭精米システムのため、安心&新鮮なお米を提供できますので大変よろこばれています。おいしく炊き上げるには、といだお米を冷たい水に三十分以上浸してから(冷蔵庫ならより良い)炊くことをお薦めします。炊き上がったらすぐにかきまぜて余分な水分をとばしてください。お水にもこだわっていただければさらに良いですね。お客様も研究熱心で備長炭を入れて炊いたり、とぎ水にも天然水を用いたりと、この頃は水も良く売れていますよ。

【高木】お米は毎日食べる健康食品ということですね。最近のお薦めなどは。

発芽玄米が人気
  ギャバが十倍

斉藤最近テレビで話題になったせいでしょうか、発芽玄米が人気です。私も実験してみようと発芽玄米を作ってみました。玄米を水にひたせば発芽は促進されます。電気発芽器で約二十二時間で発芽するのですが発芽したばかりの玄米には白米の十倍のギャバという成分が斉藤晃さん含まれております。発芽玄米は水にひたすことによって、発芽のためのエネルギーが酵素の活性化で、胚芽に最大限に蓄えられます。この中に血圧降下作用があるとされるギャバ(γアミノ酸)が豊富に生成されます。ギャバには改善効果もあり、緊張感を取り除き、脳内細胞の活性化にも効果があるとされています。ギャバの含有量は白米を一とすると玄米が二倍、発芽玄米は十倍くらいです。さらに健康のこと考えますとやっぱり減農薬栽培の玄米がよいのではと思います。玄米の炊き方のポイントは水加減を白米の目盛りよりも半目盛多く、ひたす時間を6時間以上とすることぐらいでしょうか、あとは普通の炊飯器で炊くだけです。また、雑穀米や黒米などの健康米、豆類も多数取りそろえています。一度試してみてはいかがですか。

【高木】では、お友達をご紹介下さい。

【斉藤】この地域で若手として頑張っている槙島進さんを紹介いたします。槙島さんはつるや食堂の社長として公私に渡り活躍している好青年です。

【高木】ありがとうございました。これからも楽しく健康的なご商売にご活躍下さい。

(斉藤さんはとても明るく、お米の販売には情熱的にお話下さる方でした。商工会などでも理事として二十年もご活躍されており、新しいものには自ら積極的にチャレンジされているそうです。)

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