2004年2月8日



 早いもので節分も過ぎ、梅の花だよりも各地から届いております。本日、二月八日の友達の輪は二○八番目と偶然にも末広がりな数字が重なり、とてもうれしい気持ちです。そんな縁起のよい方は幸手市交通指導員の栗原京子さんよりご紹介いただきました栗田年子さんです。栗田さんは交通指導員としてもご活躍ですが、聴覚障害者への要約筆記もされている方です。

要約筆記者
栗田 年子さん
本紙取材 木 康夫

【高木】こんにちは。栗原さんから交通指導員でもご一緒でボランティア活動にも積極的な方と伺ってまいりました。本日はよろしくお願いいたします。


【栗田(敬称略)】こんにちは。栗原さんにはお断りしたのですが、あらたまって取材されるとなると何か緊張してしまいますね。よろしくお願いいたします。交通指導員は栗原さんから指導を受け、かれこれ二十年になります。息子が小学一年生になるとき子育ても一段落したので充実した事をやってみたいと思い、たまたま空いていた交通指導員に応募したのです。栗田年子さん

【高木】要約筆記のボランンティアも長いそうですね。興味を持ったのはどうしてですか?

手話で
  私も話しがしたい

【栗田】本を読むことや手紙など書くことが大好きで、子どもに絵本を読んであげたり、二十年前に市立図書館でスタートした「ひとつぶおはなし会」という「絵本の読み聞かせ会」などに参加しておりました。十年程前になりますが、手話で会話をしている光景を目にして、「手話でよく話しが出来るなあ」と感心したのですが、同時に自分も手話で話しが出来たらいいなあと興味を持ちました。そんな時、幸手市にて手話講座が開催されることを知り参加することにしました。手話講座が終了してからも手話のボランティアに参加しておりました。しかし、手話の他に要約筆記という伝達方法があることを知りました。要約筆記は聴覚障害の方々に話しを伝える手段として、話しの内容をわかりやすくまとめて筆記により伝えるものです。それで、平成十年のことでしたが、埼玉県が発行する「彩のくにだより」に要約筆記の講座があることを知り、週一回のペースで八ヶ月通う講座に参加しました。修了後に埼玉県に要約筆記者として登録して活動させて頂き現在に至っております。

【高木】要約筆記というものを実際見たことが無いのですが、どんなところで行われるのですか?

まだまだ勉強不足
落ち込みも多い!

【栗田】要約筆記の必要な方は、聴覚障害者の人たちが参加している講演会等の場所です。講師のお話しを要約しながらOHP(オーバーヘッドプロジェクター)又は OHC(オーバーヘッドカメラ)で筆記したものを投影します。OHPは30mくらいある調理用ラップよりも厚い透明なロールをOHPの投影台において、油性ペン(中字)で書きながら巻き上げていきます。約一時間の講演でロール一本使い切ってしまうくらい筆記していきます。当然ですが講師のお話しと同時性を保ちながら筆記していきます。皆さんに読んでいただくためのものですから、早く、読みやすく解り易く要約して筆記するのです。想像よりも大変な作業です。ですから、話し言葉をすべて筆記することは無理ですので、無駄な言葉を捨てていくことが肝心です。しかし、話し言葉を瞬間的にまとめて書くのですが、漢字が出てこなくてひらがなで書いたり、お話しが早くて書き遅れてしまったり、どう要約すればよかったかなどと、終わった後に落ち込んでしまうこともあり、まだまだ勉強不足ですね。ひとつの講演会には三人ぐらいでチームを作って、ひとり十分くらい担当しながら交替して要約筆記していきます。

【高木】埼玉国体でも活躍されるようですが?

障害者スポーツ大会への
   ボランティア参加

【栗田】平成十六年度に開催される埼玉国体では交通指導員として、国体が終了したあとに開かれる全国障害者スポーツ大会では要約筆記に協力します。障害者の国体とされる、全国障害者スポーツ大会は第四回目になるのですが、本年のリハーサル大会と本大会共に要約筆記でお手伝いすることになりました。開会式、閉会式はもちろんですが競技においては会場内で聴こえる言葉すべてを要約筆記いたします。たとえば、競技の説明や競技の進行状況などを伝えます。また、会場内のお知らせから選手交代まで伝えることがあります。健聴者の私たちには、日常では気がつきにくいことですが聞こえる言葉というものは意外と多いものです。第一線で活躍する要約筆記者は要約がとても大変です。話しの内容をいかにまとめて伝えるか、聴覚障害者の立場にたった要約筆記ができるよう、自分自身もっともっと勉強しなければと思っております。しかし、より情報量を多く求められますと、要約筆記も限界になってきてパソコンによる要約筆記も増えてきました。

栗田年子さん

【高木】どんどん進んでいきますね。夢などありますか?

手話通訳と要約筆記等の
トータルコミュニケーション

【栗田】聴覚障害を持たれた方々には手話通訳がありますが、高齢化などに伴い手話を知らない聴覚障害者も増えてまいります。これからは、手話と要約筆記等を同時に行うトータルコミュニケーションが求められていくことでしょう。これから行われる講演会やスポーツ競技などに手話通訳と共に要約筆記が行われたらいいなと思っております。また、幸手市には埼玉県に要約筆記者が四名登録されておりますが、もっとたくさんの要約筆記者が増えたらうれしいと思います。幸手市の社会福祉協議会でもボランティア育成講座などで要約筆記講座を開催することがありますので、ぜひ、参加していただきたいと思います。きっと、自分のためになりますよ。

【高木】そうですね。では、お友達をご紹介願います。

【栗田】手話講座で同期の川俣文吉さんをご紹介いたします。川俣さんは自称カーペンターと称しているとてもよい方です。

【高木】ありがとうございました。これから活躍される場が多くなることと思いますが、楽しみながらご活躍ください。
(栗田さんは積極的にボランティア活動に参加され、充実された毎日を送られているようです。特に障害者スポーツ大会においては二年前から要約筆記のボランティアが登録されたそうで、さいたま市と熊谷市で開催される開閉会式や各競技でのボランティア活動を楽しみにされていらっしゃるようです。栗田さんの言われる「充実した事」という意味がわかったような気がします。)




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