新年度も間近にせまり、新社会人や新一年生には準備とともに期待と緊張に満ちていることと思います。さて、本日の友達の輪には山崎表具店三代目の山崎雅英さんにご紹介いただきました小沼正次さんに登場いただきます。小沼さんはコヌマホンダというオートバイの販売店を経営されており、山崎さんのオートバイも小沼さんにメンテナンスして頂いているようです。
コヌマホンダ
代表 小沼正次さん
本紙取材 木 康夫
【高木】はじめまして。本日はよろしくお願いいたします。
【小沼(敬称略)】こんにちは。こちらこそよろしくお願いいたします。山崎さんはたくさんのオートバイを持ってらっしゃいますね。ずいぶん長いお付き合いです。
【高木】創業者と伺いましたが?オートバイとの出会いは何ですか?
【小沼】小さい頃からバイクに興味があって、小学校三、四年生の頃でしたか、オート三輪に乗せてもらったことがあります。まだまだのんびりした時代でしたから、神社の境内を一周させてもらったのです。今考えると危険なことでしたね。それに、立派な無免許運転ですよ。(笑)この時、自分で初めて動く乗り物を操縦したと言う印象が強かったですね。とてもうれしかった記憶が今でも残っております。以来、乗り物、特にバイクに興味を持ったのです。そして、エンジンなどのメカニックに惹かれてバイクを修理したいと思いました。そこで、二十才の時に上野の中古バイク街にあるオートバイ販売会社に就職しました。
【高木】今でも上野にはたくさんのオートバイ店がありますね。何か経験をされてから就職されたのですか?
【小沼】バイクが好きだと言うだけで、まったくの素人です。ですから、入社してから先輩に一から技術指導をしてもらいました。当時、上野の中古バイク街は活気があって、営業職が要らないほどお客さんがたくさん来られました。スタッフは商品であるバイクを仕入れることと修理をすることが出来ればよいのです。仕入れるバイクはディーラーの下取り車で故障車がほとんどでした。それを修理して動くようにするのです。先輩たちメカニックは高い整備技術がありましたから、業者も全国から買い付けに来ました。在庫も常に百台くらいはありましたね。それでも、毎日十台から十五台平均で売れていくので、故障車を仕入れては半日で完璧に修理することが求められました。最初は同じ車種ばかり修理しましたので、技術習得も早かったですね。ちょうど東京オリンピック直前の頃で、高度成長を歩んでいる日本の勢いがあった頃です。
【高木】今とは違う活気あふれる楽しそうな時代ですね。幸手で開業されたのはいつ頃ですか?
【小沼】私の実家は幸手で、毎日上野まで通っておりました。自宅を建てようと考えたときに、将来はオートバイの販売店を開業したいという思いがあり、二階を住居、一階部分を店用に設計しておいたのです。しかし、安定した収入が得られるかどうかも分かりません。そこで会社を辞めることなく出来ないものだろうかと考えました。恵まれたことに、上野の会社がバイク倉庫を幸手に借りたのです。その倉庫には常時百台くらいのバイクがありました。そこで、会社の社長に話をして倉庫にあるバイクをお店に陳列させていただき、売れたら仕入れるという形が出来ないか相談したのです。あまりにも図々しい話ですが、とても理解のある社長で、無料で貸し出してくれました。当初は私が上野まで仕事に行き、家内が借り物のバイクを陳列してお客さんを待ったものでした。修理をする所が少なかった頃でしたから「バイクの音がするとお客が来る」というくらいに来客いただき、私は上野のオートバイ店をまもなく退職しました。あれから二十六年が経とうとしています。
【高木】ご夫婦で切り盛りされたようですね。
【小沼】家内も私と一緒に上野に行ってナンバー登録などの手伝いをしていました。上野には近県の千葉や埼玉、茨城といったところからもお客様が来られます。近県の陸事に行ってナンバー登録などをする人が不足していたのです。そこで、家内がその代行業務をアルバイトで行ったのです。ですから、夫婦で違う立場で販売の仕方やその後の手続きなどずいぶん学ばせていただきました。おかげで、自分たちのお店が出来たときには家内の経験が活かされました。私が販売修理を担当して、家内が登録や保険手続きなどを行うという形がいつの間にか出来ていましたね。仕事も順調に伸びていき、今では考えられませんが、座って食事をする暇がないくらい修理と販売が忙しかったですね。レジャーやスポーツとしてバイクを楽しむことから商用バイクなどの需要も多かったですね。
【高木】私も乗りました。同世代で現在も乗っている人も多いようです?
【小沼】そうですね。中高年層にバイクブームがあります。逆に若い人がバイクに乗らなくなりました。昔は十六才になるとバイクの免許をとってオートバイに乗る若者が多かったのですが、今は400cc未満のバイクは十六才や高校生は乗れません。また、十八才になると車の免許を取ってしまい、バイクに乗る期間がないのでしょうね。中高年層には、大型バイクの免許を持っている方も多く、趣味として昔を思い出して大型バイクにゆっくり乗りたいという夢みたいなものがあるようです。私もツーリングクラブに所属してお客さんや仲間たちと日帰りツーリングに行きますが、気持ちがいいものですよ。特にこれからのシーズンは最高ですね。風を体感しながら走る素晴らしさを多くの方に体験して欲しいと思います。
【高木】では、お友達をご紹介願います。
【小沼】当店のお客様でもありますが、日本でも数台しかない「ホンダ・ワリキレルーンGL1800」という1800ccのオートバイに乗っている館野文彦さんをご紹介いたします。館野さんは昨年八月に居酒屋「宙(そら)」を経営されています。
【高木】ありがとうございました。ますますのご繁盛をご祈念いたします。
(小沼さんは趣味が仕事になってしまったとおっしゃるほどのバイク好きで、好きなバイクで商売をさせてもらい感謝でいっぱいとおっしゃっていました。とても明るく楽しい方でした)