1996年10月27日



幸手市上高野で(有)手島油店・手島ガソリンスタンドを経営する手島幸成さんからご紹介いただきました(株)三陽不動産の三牧省吾さんにお話しを伺って参りました。

(株)三陽不動産
建築部 ・三牧 省吾さん
本紙取材・高木 康夫

【高木】お忙しい中、お邪魔します。以前どちらかのお店の開店セレモニーでお会いしてますね。

【三牧(敬称略)】仕事がら店舗設計をしていますので、担当したお店の開店でお会いしたと思います。

【高木】手島さんがおっしゃってましたが、自分の感性を活かした素敵な自宅を造っていただいたと伺っておりますが。

【三牧】力不足なところがありますが、手島さんには大変気にいっていただいており、とても光栄です。もともと、インテリアのプロデュースからこの仕事に入りましたので、その感覚が活きたのかなと思っています。

【高木】プロデュースというと。

『博物館が
 仕事の現場』

【三牧】当社は父が不動産業を主として設立し、20年程前から建設業も共に行なってきた会社ですが、この会社には入る以前は博物館などの展示物を制作したり、博覧会等の造作、ディスプレーやビジュアルな映像や写真等を用いた展示工事をプロデュースする会社に勤務していました。北は北海道から南は九州まで、色々は博物館等で仕事をさせて頂きました。

【高木】博物館の展示物とは?

【三牧】たとえば、江戸時代の家具や商家等を原寸からミニチュアまでのサイズで制作したり、歴史的な展示を最大限活かせるよう、照明による効果や保護を目的とした展示方法を考えたりと、色々なことをしていました。もちろん、歴史に忠実でなければいけませんので、学識経験者である大学教授や博物館の監修員などの監修を受けて行なうのです。従って先生方の言わんとする時代背景や素材感、色合等、目指す物に近付ける為のコミュニケーションは現在の仕事にとても活きています。

【高木】博物館等の展示はとても良く出来ていますね。

『こだわりをも持ち
 歴史の再現』

【三牧】自分が実際に見た事が無い物が多いので、それなりに勉強させられました。埼玉県ですと川越市立博物館の展示工事に携わらせていただきました。蔵作りの基礎工事から再現し、材料も川越だけでは集まらず各地から取り寄せました。今では一般家屋にあまり行なわれない左官工事も、加藤さんという有名な左官士にお願いしました。一般家屋と予算の額が違いますので、かなり手の込んだ仕事でしたね。こんな予算で家が建てられたらどんな要望もかなってしまいますが。(笑)でも、芸術作品を作っているという感じが強く、時間を忘れて楽しく仕事が出来ました。

【高木】やりがいあるお仕事ですね。現在は?

『勇み足も
 勉強の一つ』

【三牧】当社は社長である父のアイデンテティーで運営されている純粋は不動産、建築会社でしたので、私の経験がプラスになると勇んで入社しました。ところが、父と子という関係が心のどこかに存在していて、若輩の経験不足と意気込みが空回りして、入社して1〜2年は「来なければよかった」と思う事もありました。でも、自分の位置や役割が徐々に見え始め、社長と社員という立場で会社内で認識され、現在に至っています。建設業界はバブル崩壊によってとても厳しい時代を迎えましたので、社長の確固たる経営方針の重要性を感じました。そこで、住宅だけでなく店舗設計、施工などへの業態の拡充を計り、私としても今までの体験を活かせる場を作ってもらった感があります。

【高木】親思う心にまさる親心ですね。

【三牧】自分自身が不器用な人間ですので、会社から与えられた役割をこなすのが精一杯なのかも知れません。でも、店舗等の設計はそれぞれのご商売が背景にありますので、繁栄する店作りを考えなくてはなりませんし、投資効率を考えますとおのずと予算も限られますから、プロデュースするという観点では、自分の得意とするところと思っています。

【高木】この近くで手掛けられた所は。

『コンセプトを
 プロデュース』

【三牧】さくら通りと四号線が交差する角にあります飲食店の複合店舗であるCOMビルやDマートさん近くのうなぎのまる屋さん、さくら通りの焼き肉店チャプターさん、緑台のスナックマーメードさんなどがあります。それぞれ、オーナーさんとコンセプトを打ち合わせアイディアを表現していったつもりです。ぜひ、お客様として手立ち寄って見て下さい。

【高木】そうでしたか。行ったときにはコンセプトを見させて頂きます。

【三牧】住宅については、最近大手のメーカーさんが躍進していますので、当社としては地元に密着した個性ある住宅を建て主であるお客様の希望に沿って作って行きたいと考えております。当社は家作りを通じて地域に貢献していきたいという社長の考えがあるのですが、街作りの上では住宅は環境の1つと考えています。ですから、お客様の要望や個性を活かせるようプロデュース出来たらと思います。

【高木】この地域に溶け込む個性溢れた素敵な家作りといった事でしょうね。お休みには何かなさってるんですか。

【三牧】家族と共に過ごすことが多いですね。子供がまだ小さいので、人並みですが子供中心の生活を楽しんでいます。また、業界関係の人達とゴルフなどもしますが、不器川さがここにも表れていまして、まあ楽しむゴルフをしています。でも、不器用なおかげで多くの人達に面倒を見て頂き、大学教授から業界のプロ職人まで幅広い友人に恵まれました。異業種の方が多いので仕事にとてもプラスになります。

【三牧】そうですね。ではお友達をご紹介頂きたいのですが。

【三牧】当社が手掛けた店舗の中で「まる屋」さんのおかみさんの斎藤隆子さんをご紹介いたします。店舗設計を通じたご縁でご夫婦ともにお世話になっている方です。

【高木】ありがとうございました。これからも地域の演出にご活躍ください。

【取材中お仕事の電話がたくさんは入り、忙しいところをご迷惑かけましたが「何でも出来る」という信念を持たれた32歳の好少年でした】

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