2004年7月25日



 今年の梅雨は雨が降らず、農作物に影響が出るのではと心配されますが、そんな梅雨も明けて真っ青な空に強い日差しがまぶしい季節になりました。本日の友達の輪にはドリームサービス鰍フ代表取締役白田ひろ子さんよりご紹介いただきました小河原正隆さんにご登場いただきます。小河原さんは幸手市下吉羽の地蔵院のご住職でもありますが杉戸町において知的障害者入所更生施設「庄内」の施設長としてもご活躍されている方です。

知的障害者入所更生施設 庄内
施設長 小河原 正隆さん
本紙取材 木 康夫

【高木】こんにちは。白田さんより公私共に親しくさせていただいている方とご紹介いただきました。本日はよろしくお願いいたします。下吉羽の地蔵院のご住職と伺いましたが?

住職と施設長の
    掛け持ち

【小川原(敬称略)そうです。父が一昨年三月に倒れてから、掛け持ちで地蔵院の住職を勤めさせていただいております。私はお寺の息子として育ってまいりましたので、仏教の道を選択して大正大学に入学しました。その中で教職のカリキュラムを学び、昭和四十二年から平成七年まで教員生活を送りました。教員のスタートは越谷南中でしたが幸手中や春日部養護学校などで教鞭をとらせていただきました。その後、杉戸第二小近くにある社会福祉法人杉風会(さんぷうかい)「れんげそう作業所」という知的障害者通所授産施設で九年間障害者支援を行っておりました。住職と言う仕事もこのような更生施設での仕事も共に「人に優しい」「人と接する」という共通項があります。社会福祉法人杉風会理事長の江森さんは幸手中学校で一緒だった方で、江森さんに施設の運営に協力を依頼され「庄内」がオープンして現在に至っております。

【高木】すばらしい施設ですね。いつオープンされたのですか?

木材を多用した
  バリアフリー施設
小河原正隆さん

【小川原】今年の四月にオープンしました。施設の床面積は千八百平米です。二階建ての建物で個室と二人部屋になっており、バリアフリーの木材を多く使用した施設となっております。施設名である「庄内」は付近を流れている中川が古くは庄内古川と呼ばれていた事と、この地域が庄内領と呼ばれていたことに由来します。現在施設には十五才から五十七才の五〇名の施設利用者がおります。スタッフは二十九名が対応しております。当施設に入所されている方々は知的な障害と肉体的な障害を持っているパターンに分けられますが、併せ持つ方もいらっしゃいます。障害の重さもそれぞれ違いますし、それぞれの思いとそれぞれの生活も違います。また、希望や背景も違うわけです。スタッフ一同それぞれの個人に対応した支援をしていくように毎日頑張っています。また、糖尿病などの現代病や持病を持っている方もいらっしゃいますから医療機関への送迎などの支援も必要です。一対一で対応できない場合は二名で送迎したり必ずスタッフがかかりきりでケアをしなければなりません。服薬者が現在60%にあたる二十九名おりますが、朝昼晩の薬の投与も医師の処方に基づいて行います。生命にかかわる事ですから何重ものチェックを行っております。

【高木】ご苦労なことですね。生活支援について伺いたいのですが?

グループによる
  日常活動の実践

【小川原】個人によって程度が違いますので、日常生活の基礎知識を学習することから社会生活を体験してもらうことまで、グループ分けをして日常活動を提供しております。大切なことはそれぞれの人にあった日常活動を提供することで、グループによっては、近くのアグリパークまで散歩に行ったり、生活の基礎となる掃除、洗濯や草取りなどを行ったりします。また、適度なストレス発散にもなりますので、買い物などの体験もしてもらいます。二十四時間三六五日施設にはお休みがありませんのでスタッフも交代制で勤務しております。現場では最大限の努力をしているつもりですが、年金問題に見られるように、日本の社会保障制度は少子高齢化や障害を持っている方を含めて、これからどう扱っていくのかとても大切な時期にきていると思っています。介護保険や私たちの施設に関わる国や県や自治体の支援費制度も今のままでは破綻の方向に向っていますし、年金、医療を含めて広い意味での社会福祉を今一度見直して欲しいものです。

【高木】今後の夢などありますか。

グループホームを
     目指して

【小川原】夢ではありませんが、今後の計画として、自立支援や社会生活への対応を目的としたプログラムを充実していきたいと考えております。まずは現在の施設で八月から一泊二日程度のショートスティを行っていく予定です。また、久喜市内にグループホーム施設がありますが、杉風会も将来はグループホーム施設の運営も考えております。グループホームは利用者が主体となって生活する施設です。現在の施設は入所者の生活においてはスタッフの力量が大きな部分を占めますが、グループホームでは自立した生活を基盤としてより社会に近づいたものになります。将来的には計画していきたいと考えております。

【高木】ご趣味などは?小河原正隆さん

【小川原】旅行が趣味でしたが現在は忙しくてどこにも行けませんね。たまには自分の時間が欲しいと思っています。(笑)

【高木】そうですか、お忙しいことと思いますがお身体を十分ご自愛下さい。では、お友達をご紹介下さい。

【小川原】ご住職ですが宝聖寺の朝倉隆雅さんをご紹介いたします。私にとっては中学校の恩師の先生でもあります。


【高木】ありがとうございました。私たちは支援と言う言葉をたやすく使いがちですが、社会生活への自立支援に取り組んでいらっしゃる姿には本当に頭が下がる思いです。ますますのご活躍を期待いたします。小河原さんはとても穏やかな方で、現在のお仕事に真摯に取り組まれていらっしゃいました。施設の見学をさせて頂きましたが、とても明るくて清潔感あふれる素晴らしいものでした。これからの計画が順調に進むことに期待いたします)




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