2005年2月27日



各地ではひな飾りがあふれ、待ち遠しかった春も、もうそこまでやってきています。本日の友達の輪は声楽家の藤井和枝さんからご紹介いただきました石井和子さんです。石井さんは剣道で活躍されている方です。

剣道錬士 六段
石井 和子さん
本紙取材 木 康夫

【木】初めまして。よろしくお願いいたします。


【石井(敬称略)】こちらこそ、よろしくお願いいたします。和枝さんとは同級生で幼い頃からとても仲良くしています。

道着姿ですが、これから剣道の稽古ですか?


石井】幸手市剣道連盟幸手剣友会で主に小中学生の子どもたちに指導をしています。毎週火、木、金は午後七時から、日曜日は午前十時から稽古がはじまります。家事をしているとつい遅れがちですが、常時五〜六人の先生方がボランティアですが一生懸命少年剣士の指導をされます。子どもたちも気合を入れて頑張っています。

】ずっと剣道をやられてきたのですか?石井和子さん

幼い時から
 スポーツ大好きおてんば少女

【石井】剣道は高校のときだけです。私は三姉妹の真ん中として生まれ育ちました。幼い頃から水泳やドッジボール、ソフトボール、陸上など体育が大好きでした。でも、中学生の時は楽器にも興味があり、担任の先生が音楽の先生で、吹奏楽部の顧問だったこともあり、吹奏楽部で三年間クラリネットを吹いていました。高校に進学して部活を考えていたのですが、剣道部員の「初心者でも大丈夫」という誘いで剣道に踏み込んだのです。三年間続けニ段まで取得しましたが、剣道レベルは普通でした。卒業後は就職し、結婚後退職して幸手を離れ都内や千葉に住んでいましたから竹刀に触れることはありませんでした。その後、横浜に移り住むようになったのですが、そこに個人道場があって剣道と再会したのです。息子たちの子育て中で、五才と三才の幼い心身を鍛えたいという思いもあり、まず長男に強制的でしたが剣道をやらせたのです。次男の手を引きながら道場で長男の稽古を見ていましたら、近くに竹刀があったので振ってみたのです。そこを館長に見られて、「息子さんと一緒にやりませんか?」と声をかけられ十数年ぶりに道着と袴を着ることになったのです。

【木】長いブランクですが感は取り戻せましたか?

息子の剣道が
 目覚めさせた

【石井】神奈川県警の師範で特別練習員のコーチなどされている剣道のプロのような指導者でしたから、高校時代の部活レベルではなく週三回ニ時間のハードな稽古でした。親子で通っていましたが、私は過労で帯状疱疹が出たり、打ち身やあざで、こんな思いをしてまでなんでやるのだろうと思ったほどです。神奈川での八年間の剣道生活で四段まで昇段できましたが、今、思えば剣道に目覚める素晴らしい出会いをいただいたと感じてます。そして、マイホーム計画をした時に主人が私の故郷である幸手を選択してくれたのです。十四年ぶりに戻ってきましたが、街並みこそ変わりませんが、武道館があるのには驚きました。空手、柔道、合気道、薙刀、太極拳、弓道、少林寺拳法、そして剣道などの武道が毎日のように行なわれているのです。幸手は武道に力を入れていてすばらしいなあと思いました。そこで、今度は故郷で剣道を続けることにしたのです。

【木】女性剣士の大会は?

石井和子さん

日本一の主婦剣士
 全国家庭婦人大会

【石井】個人も団体もそれぞれ全国レベルでありますが、私たちが意識しているのは家庭婦人大会というもので結婚している主婦の大会です。二十代、三十代、四十代以上という各世代から一人づつを含む五人チームで対戦します。各世代の代表はトーナメント戦で五、六戦行ない、五人を選考し埼玉県代表チームとして全国大会に出場します。昨年は埼玉県代表チームの監督として全国大会に臨みました。全国大会は三つの県代表と総当たり戦を行ない、ひとつの県がトーナメント戦に進み日本一を決めます。埼玉は実力もあり、日本武道館で開催されますから応援団もたくさんで励まされます。昨年は香川と鳥根と埼玉で戦いましたが思わぬところで相手にとられ惜しくもトーナメントには勝ち上がれませんでした。いい選手がいても一本一本の大事さ、試合の恐さを難しさを改めて感じました。帰りに悔しくて、六人で九段下の居酒屋でやけ酒を飲んで帰った思い出があります。(笑)今年も四月に代表予選大会がありますが、錬士六段になるとチームの大将にしかなれないという条件があります。ですから予選大会では四十代以上の部で優勝しないと出られないのです。選手層は子育てなどで二十代が少なく、どうしても四十代以上が多くなりますので、私にとっては激戦区です。

【高木】代表選手を目指してください。目標などは?

年齢を感じさせない剣の道
      最終目標は……

【石井】大変、難関ですが剣道七段の夢をもっています。七段は六段を取得してから六年修練しないと受験資格が与えられません。六段を取るのに四度つまずき三年かかりました。頑張れたのは、幸手剣友会の指導をされている警視庁の先生をはじめ、たくさんの先生方のご指導のおかげです。そして何より剣道を全く知らない主人の大きな理解あってこそ、私の剣道人生が続けられていることにとても感謝しています。審査はたいてい男性剣士が相手で、立ち姿や打つべきところを打っているかなど、審査員である範士八段の先生方七人に見極められます。受かろうとか良く見せようとか考えると必ず落ちます。合格した時は相手しか見えませんでした。相手が打って来るのが見えた瞬間に私の身体が自然に動きました。六段の受験の際、八十才の婦人剣士や二十七回目の挑戦の方もいらして感心してしまいました。剣道は一生出来る武道だと思いました。私も再来年、七段の受験資格が得られますので何度でもチャレンジしたいと思っています。夢をあきらめないで…!

【木】それでは、お友達をご紹介ください。

【石井】高校時代の友人で美容師の大沢百合子さんを紹介いたします。大沢さんは美容室を個人経営されています。

【木】ありがとうございました。剣道を通じて心身豊な子どもたちをご指導くださいますようご活躍を期待いたします。
(石井さんは気さくで明るくて、なんでも前向きに取り組まれる方と感じました。お習字も趣味のひとつだそうで剣道の大会の大看板も筆で書かれるようです。三味線もやられるようで多彩な一面を感じさせる素敵な方でした)




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