1996年12月8日




ホテル・グリーン・コア社長の金子範子さんよりご紹介頂きました金子さんのお孫さんが通っている茨城県五霞町大福田にある起伏あり自然豊かな錦織(にしき)保育園の芹沢園長先生にお話を伺いました。

錦織(にしき)保育園 園長先生・芹沢栄子さん
本訴取材・高木康夫

【高木】こんにちは。随分自然が残っているところですね。

【芹沢(敬称略)】この場所に保育園を構えて4年目です。笈沼さんという地主さんの好意で自然や起伏が残っているこの場所に、縦糸と横糸で錦を織るように子供を育てたいという願いを込めて錦織保育園が出来ました。

【高木】以前は違う所だったのですか?

【芹沢】最初は13年前、杉戸の御成街道沿いに6畳1間の保育室で、その後、五霞町原宿台に保育園を作りましたが、住宅地でしたのでご近所に迷惑がかかるようでクレームが多くなり、3月の寒い時期、ここに移りました。ここは、倉の跡地の高台で当時は竹薪に林といった自然いっぱいの場所でした。親と子供たち、保母さんで竹薮を切り開き、子供たちも竹をかつぎ、みんなで協力し大工さんに高台に園舎を作ってもらいました。

【高木】保育に関心をもたれたのは?

氏より育ちか
育ちより氏か

【芹沢】高校生の頃、担任の先生に「氏より育ちか、育ちより氏か」というテーマで2年間考える機会を与えられました。現在に置き換えれば、生まれも持った家系か、育てられた環境か、という事でしょう。高校生という若い時期に、「人間の本質とは何なのだろう」と言うことを時間をかけて考えられたのかなと思いますし、社会体験も保育園でしたから、この頃から保育に関心を持ったのだと思います。その後、一般の仕事につきましたが、思いあがり、幸手さくら幼稚園さんで保母の仕事につかせて頂きました。ところが、自由に遊べない子供たちや汚れることを嫌がり、本心から楽しめない子供たちが増えている事を感じ、小さい赤ちゃんの頃から育てればよいのかなと思ったのです。
保育園としての認可が取れないとのことですが。

認可はまだだけど
 みんなの協力で運営

【芹沢】認可されれば補助金や保母さんの福利面等、運営の面で楽になるのですが、少子化傾向の中で、既存の保育園に定員割れが出ている現状では、なかなか新規の認可は頂けません。ですから、保母さんにも充分な賃金や保険などままなりません。でも、保護者や保母さんの「心豊かな子供たちを育てたい」という強い思いが、みんなで協力しようという力になって、理事会を形成し、共同運営をしています。

【高木】現在通っているお子さんたちの構成は?

【芹沢】0歳児から6歳児まで30名の子供たちが幸手・杉戸・栗橋・宮代・加須・総和など広域から通っています。また、学童保育も、小学校1年から6年までの17名が来てます。(対談取材中、一人の子供が近づいてきて「芹沢みんなと神社まで行ってもいい?」と声を)

みんな平等
 みんな同じ

【高木】今、先生のことを「せりざわ」と呼んでいましたが?

【芹沢】当園では、子供も保母もみんな平等なんです。「みんな人間として同じ位置」という気持ちで名前をそのままいう気持ちで名前をそのまま呼んでいます。去年入った新しい保母さんは、お姉さんの時もあり子分の時もあり「まきちゃん」と呼ばれていますよ。(笑い)

【高木】面白いですね。園の生活は保育料は?

【芹沢】日曜、祭日はお休みですが、朝7時半から午前6時までです。0歳児から1歳児までが月額55000円で1歳年が増えるごとに5000円づつ下がり、5歳児から6歳児が4500円です。完全給食で野菜は有機野菜、お米は秋田から取り寄せお昼だけで20種類ぐらいの食材を使い、何でも食べられる健康な子供たちにと考えています。日常の様子ですが、「あれやれ、これやれ」といった指導はやめて、子供たちが自主的に活動できるよう危険の無いように見守っています。年長さんが庭を掃き、薪ストーブの薪を割ったり、ホールの掃除や園内、園外の畑の手入れも3歳児からやっています。

【高木】子供たちがこの園庭で伸び伸び遊んでますね。

共に遊び
 共に育つ

【芹沢】たまたま、近所の神社で「夏祭り」のお知らせに拍子木を「カチカチ」鳴らしながら子供たちだけで歩いていったんです。車が通りますので隠れて見ていると、年長さんが一列にきれいに並ばせて歩いていくのです。また、園庭の近くに直径20cmぐらいの材木が落ちていた時には、何かを作ろうと、3人の年長の中の1番力のある子が切り始めたのです。ところが、子供の力ですから思うように切れずにいたところ、1人の子が「太鼓を交代に叩くみたいに、みんなでやろう」と言い出し、はしゃぎながらなんと1時間かけて切り終えました。そして「みんなで協力するって楽しいね」という言葉が子供たちの口から飛び出しました。いずれも、子供たちの主体性が培ったものと嬉しくなりました。また、当園には健常児に混じって、障害を持った子供さんも通っています。共に生活しますと、その子たちに教わることが多く、子供たちに自然と思いやりの心が芽生え、障害を持った子供にも明るさや強さが生まれています。

子供はいないけど
 子育ては好きな事

【高木】なるほど。ご家庭ではどんな生活を?

【芹沢】実は私ども夫婦には子供がいません。知人からは子供がいないのに、人様の子で苦労するね」と言われますが、好きな事なら続くものと自分でも思っていますし社会的使命を感じます。主人も「好きな事をやっているからいいか」と理解協力してくれ、恵まれた環境です。

【高木】そうですか。それではお友達をご紹介頂きたいのですが。

【芹沢】当園にお子さんが通っていて、また、理解と協力を頂いている幸手市北にある新井庫三商店の新井潔さんを紹介します。

【高木】ありがとうございました。運営の面では資金的にも厳しい環境でしょうが、良い人達に囲まれ、21世紀の宝を伸び伸びとお育てください。ご活躍を期待します。

【園中心に大きな山があり、夏には水を撒いてどろんこ滑り台にするそうです。幼き日、どろんこになっても笑顔を絶やさなかった感性が、この場所には残っているような気がしました】

錦織保育園では全国の子供たちの描いた絵のカレンダーを販売しています。1部1200円だそうですのでご協力いただける方は
(電話)0280ー84ー1128
までお問い合わせください。】

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