2005年9月25日



愛・地球博も今日で閉幕。会場となった長久手の山や自然がどう返されるのか注目されています。さて、本日の友達の輪には行幸湖カヌークラブの石塚千恵さんよりご紹介いただいた幸手東中学校の学校長である西宮貞二さんに登場いただきます。

幸手東中学校
校長 西宮 貞二さん
本紙取材 木 康夫

【木】こんにちは。生徒から校長先生へという形は初めてです。よろしくお願いいたします。東中にはいつ赴任されたのですか?


【西宮(敬称略)】こんにちは。石塚さんの活躍が紙面に載ってうれしく思います。しかも私にバトンが来るなんて考えもしませんでした。私は今年の四月一日より東中学校に勤務しております。九年前になりますが西中で教頭を務め、その後、栗橋西中、久喜南中、蓮田南中を経て幸手に戻ってまいりました。

【木】先生になろうと思われたのは?

山が大好きで
木こりになった

西宮実は先生になろうなんて夢にも思っていませんでした。私は栃木県の馬頭町という山ばかりの中で生まれ育ちました。幼い頃から山になじみ、山を見ていたものですから、いつのまにか山を保護したいと思ったのですね。それで、宇都宮大学農学部林学科に入学しました。大学時代の自分自身をみたときに人とのつきあいが上手な方ではないと感じたものですから、人とふれあう事のない職業に従事しようと考えました。それで、山に囲まれてその山を保護したいと思い「木こり」になったのです。(笑

【木】えっ、木こりですか?

西宮「木こり」と言う会社がある訳ではないのですが、就職は北海道の苫小牧にある岩倉組という会社に入社したのです。岩倉組はパーティクルボードという合板を生産していました。夕張市の山奥に大夕張という山ばかりの旧炭鉱町があり、そこに、岩倉組の山林部があるのです。山林部では自生している木を天然更新と言って全部切らずに間引きをするのです。この地域は寒いので成長が遅く、間引きした山はそれから二百年以上そのままで、次の世代で間引きをするようになります。トド松、エゾ松などは建設材として、かばの木、楢の木、せんの木などの落葉樹は家具材になります。
西宮貞二さん
【木】まさに木こりですね。環境は思ったとおりでしたか?

自然もすばらしいが
人とのふれあいも!

西宮人里から十キロ以上も山の中に入っている生活はとても大変でテレビは電波障害で映りませんし、週一回地元の商店が手紙と新聞と食品を持って入山してくる以外、情報が絶たれていました。山を降りられるのは給料をもらいに行く月一回だけでした。札幌に出るのですが、読みたい本を探したり、情報がなかった分だけカルチャーショックを受けるのです。大学出たての社会人には文化に乗り遅れていることはあせりにつながりました。自然もすばらしいけれど、人とのふれあいの楽しさを反面教師で実感したのです。それで、一大決心して、人とのふれあいを求め、それには教師しかないと考え、山を一年で降りて宇都宮大学の学士課程に入学し教育学部に編入したのです。

【木】貴重な経験ですね。そして、再び大学生ですね。

西宮今度は目標がはっきりしていました。中学か高校の教師になろうと思い理科の専攻をしましたが、理科は実験が多いのです。二年間で必要単位を取らないとなりませんから同時間に二科目受けるダブル聴講もやりました。(笑)なんとか、二年間で卒業して念願かなって所沢市立三ケ島中に新任教師として赴任しました。新任とはいっても同期とは三年も余分な経験をしておりますから、誰が見ても中堅の顔立ちでした。(笑)最初に中学一年生を受け持ったのですが可愛かったですね。当時は自由裁量の学校経営で教師が自分のカラーを出そうとしていました。担任の個性がその学級に反映していました。

【木】エピソードなどありましたか?

夢中な仲間は
今でも友達

【西宮】初めてのクラスでは生徒が迷い犬を拾ってきて内緒で飼ってしまった事がありました。当時は生徒増で仮設のプレハブ校舎に外断熱で外側にスダレがかけてあったのですが、そのスダレの陰に学校にわからないように小犬を飼っていたのです。結局、見つかってしまい手放すことになりましたが、子どもたちは涙、涙でしたが弱者に対する思いやりや、やさしさを学んだようでした。また、運動会、文化祭、学級発表会など行事も個性豊かで、教科書の物語を子どもたちだけで脚色して演劇にして演じたこともありましたね。学級新聞の編集マニアがいて、わら半紙五枚の両面を使って二週間に一度学級新聞を作っていました。トップ記事から社説もあって、なかなかの出来でした。メンバーはそれぞれ違う西宮貞二さん部活に入っていましたが、部活の合間に作っているのですが間に合わなくて部活そっちのけでやっていました。その当事の子どもたちが二十年ぶりにその時の新聞を持って自宅に遊びに来たのですが、夢中になって一緒になにかを作り上げた人間はいつまでもつながっているんだなという喜びを感じました。

【木】先生としての醍醐味ですね。これからの夢とか抱負とかありますか?

楽しくなければ
学校じゃない

【西宮】東中学校は自然豊かで地域交流が盛んなところです。地域が学校にとても協力的で学校に対して期待を持っていただいていることが伝わってきます。そんな地域ですから交流の場として学校にグランドゴルフのコースを作りたいと思っています。また、少子化の波は当校も例外ではありません。三校の小学校から生徒が集まってきますが、中学校を中心に小中合同の運動会が出来たらいいなあと考えています。私の学校に対する抱負は「楽しくなければ学校じゃない」ということです。楽しいという気持ちがあれば活力が生まれ自己実現につながります。仲間が出来る学級経営を行い自己実現をはかれる学校行事を創造していきたいですね。

【木】素敵ですね。では、お友達をご紹介下さい。

【西宮】幸手西中学校時代にPTAの講座で「そば打ち」を教えていただきましたが、それが今でも趣味として、また地域交流の種として活きております。教えていただいた中村安文さんをご紹介いたします。

【木】ありがとうございました。地域性あふれた中学校で思いっきり子どもたちとふれあえる学校作りにご活躍下さい。
(西宮校長先生はとても穏やかで笑顔がやさしい方でした。子どもたちに夢と希望の種を植えていく素晴らしさを体感されていると感じました)




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