2007年2月25日



ひなまつりも間近な二月最後の日曜日。早春を感じられる読者も多いことと思いますが、暖冬の影響で桃の節句どころか桜の開花が早まるのではと言った心配も聞かれる今日この頃です。さて、本日の友達の輪には香日向ベアーズの日向喜久弥さん(ひむかい きくや さん)からご紹介いただいた、戸田麻理子さんに登場いただきます。戸田さんはご自宅を開放して「はまなす文庫」を主宰されています。

はまなす文庫
主宰 戸田 麻理子さん
本紙取材 木 康夫

【木】こんにちは。日向さんから香日向ベアーズを通しての知人と言うことでご紹介いただきました。読み聞かせなどの活動も長いと伺いましたが。


【戸田(敬称略)】こんにちは。日向さんには息子がベアーズで大変お世話になりました。私はこの地に越してくる前は練馬に住んでいました。子どもが一才の時に練馬の児童館で「読み聞かせ」の体験がありました。その時に出会った先生がエイデル研究所出版の本を出している渡辺順子さんという先生でこの先生に本と読み聞かせの素晴らしさを教えていただきました。

【木】どんな活動をされたのですか?戸田麻里子さん

教員を辞めて
子育て中心に

戸田私は国語の教員をしていましたが、渡辺順子先生の講演を聞いていろいろな職業があっていろいろな生き方もある、多面的な生き方をしたいと思ったのです。それで、教員をやめて子育て中心の環境にしようと思ったのです。家庭でブラブラしていても、近所にタンポポが咲いたとか彼岸花が咲いたとか言えば、子どもを連れて見に行きました。主婦、母親がとっても楽しかったのです。人生平均寿命で言えば八十四年ですが、親と子で一緒に感動できる期間は三、四年しかありません。子どもにとっても親にとっても貴重な時間です。私は他に自慢することはありませんが、子どもたちが一才から五才までで「遊んで」と言われたら、どんなときでも断ったことがありません。「読んで」とせがまれて同じ本を十五回も読んだこともあります。大きくなった子どもに話すと「主婦ニートだよ」と笑われますが、特に読み聞かせはお母さんの声で愛情が受け取れる唯一の宝物、心へのプレゼントです。下手でもいいですから聞かせて欲しいですね。親子の絆がしっかりしている子どもはキレたりしません。

【木】はまなす文庫はどんなきっかけで始められたのですか?

自宅を開放して
文庫を開設

戸田読み聞かせを体験する中で子どもの成長に本の素晴らしさを感じていました。それで、越してきたばかりの頃、読み聞かせを求めて幸手の児童館などに行ったのですが、イベントなどは開催されるのですが、心の成長につながるものが少なかったのです。児童館に働きかけてみたのですがなかなか難しいようでした。それならば、自分でやってしまおうと考え自宅を開放して「はまなす文庫」を始めました。最初は緑台に住んでいましたので、子どもたちが親と共に集まる中央公園に手書きのポスターを貼ってPRしたり、いつも遊んでいる仲間に声を掛けて募りました。最初は十人位集まりました。

【木】反響はいかがでしたか?

ユネスコからも
百冊の寄贈

戸田貸し出しを中心に五、六百の蔵書があり、自由に出入り出来る環境でしたから、本が好きな子はもとより子どもがクチコミで子どもを連れてくるのです。子どもたちが本を手にとって読んでいる姿をみると、とてもうれしかったですね。おこがましいですが、自分の子どもたちも回りの子どもたちも一緒に向上させたいと願いました。また、少しでも地域の役にたてばと思い、香日向に越してきてからも「はまなす文庫」を開設しました。ユネスコ宝くじ文庫という支援があるのですが、「はまなす文庫」としての地域活動が認められてユネスコからも百冊ほどの本も寄贈いただきました。

【木】現在も続けていらっしゃるのですか?

近隣の子どもたちも
減って
戸田麻里子さん

戸田今までに利用した子どもたちは百人以上になりますが、みんな育ちあがって、近隣には小さな子どもが少なくなってしまい「はまなす文庫」の利用者も減ってしまいました。でも、結婚して出産のために実家に帰ってくる人もあり、そんな人たちに出会うと赤ちゃんが生まれたときに本をプレゼントしています。五年程前になりますが就学前の子どもたちに読み聞かせの依頼があって、東鷲宮のコミュニティセンターへ出張の読み聞かせをお受けしました。純粋無垢な子どもたちが目をキラキラさせて話しにくいついてくるのです。子どもたちの顔を見ているだけで感動しました。そして、励まされてパワーをもらったような気がしました。現在でも読み聞かせは続けています。

【木】読み聞かせをされていていかがですか?

人生の中で
一冊の本との出会い

戸田読み聞かせは聞き手の子どもたちとがっちり四つになるといいのですが、どういう形がベストなのか悩んだ時期もありました。技巧に走るのか、感情を込めたほうがいいのかなど、子どもたちの興味もありますし、年齢によっても違ってきます。そして、読み聞かせなどを通じて人生の中で感動できる本に出会って欲しいと思います。本は求めれば何でも与えてくれます。恋愛に悩んだ時に日本の女性史を読んだことがあります。いろいろな人の生き方を読んで自分が悩んでいることは大したことではないと思いました。ロバート・マクロスキーの「すばらしいとき」という絵本があるのですが、少年少女の一夏の体験を書いた絵本です。絵本の中に人間の生き方が凝縮されています。この本は私の心の本でもあります。母が亡くなった時も主人の具合が悪くなった時もこれを読んで慰められました。読み聞かせもそうですが人生を経験すればそれで違う読み方が出来るのです。

【木】すばらしいですね。では、お友達をご紹介下さい。

日向大人のためのサロンを開いたりしている「ポプラの会」の松田雅代さんをご紹介いたします。

【木】ありがとうございました。これからも、読み聞かせを通じて感性豊かな子どもたちの育成にご尽力下さい。ご活躍を期待いたします。
(戸田さんはたくさんの本と暮らしており、お薦めを伺うと、椋鳩十作の「マヤの一生」、バージニア・リーバートンの「せいめいのれきし」だそうです。親子で読み聞かせをされてはいかがですか)




[Image :logo.jpg]