1997年2月6日



 五霞町元栗橋で渡沼畳店を経営されている渡沼邦光さんからご紹介いただいた五霞町原宿台にお住まいで、隔月発行のミニコミ紙「はーとフルたうん」の編集長であります渡部弘子さんと対談いたしました。

はーとフルたうん
編集長 渡部 弘子さん

本紙取材 高木 康夫

【高木】寒い日が続きますが、愛犬クロベエと共に編集部までお越し頂きありがとうございます。

【渡部(敬称略)】こちらこそ、よろしくお願いします。今日はクロベエも仲間にいれて頂きありがとうございます。

【高木】五霞町の渡沼さんとはペットを通じてのお知り合いと伺っていますが?

【渡部】私たち夫婦は八年程前に五霞町に越して来たのですが、その際、自宅の畳を渡沼さんに入れて頂いたのがきっかけです。渡沼さんも動物が好きで、我が家のクロベエ(ラブラドールレトリバー種)も可愛がってもらっています。

【高木】渡部さんはほとんどクロベエと一緒の生活と伺っていますが?

クロベエはパートナー

【渡部】そうですね。クロベエは家族の一員です。ペットではなく、パートナーです。時々ですが特別養護老人ホームなども訪問しています。動物と触れ合うことで心をケアして行く動物療法(アニマルセラピー)が自閉症の子ども達にも大きな成果をあげていて精神療法として見直されています。東京都品川区主催の「品川夢さんばし」のイベントにボランテイア犬として招待され、山手線に乗って一周した事もあります。

【高木】ボランテイア活動にもクロベエと共に積極的ですね。忙しい中、ミニコミ紙も発行されてますね?

 タウンプレスよみうり
への投稿がきっかけ

【渡部】三年程前から「はーとフルたうん」というミニコミ紙を隔月で発行しています。「タウンプレスよみうり」の「読者言いたい放題」のコーナーに、捨て犬が凍死している姿がいたたまれず投稿しました。活字になるとインパクトがとても強かったので自分で「動物を大事にしようをテーマ」にしたミニコミ紙を発行することにしました。渡沼さんもそうですが、家を建てたときにお世話になった業者さんがほとんどスポンサーになって頂き現在に至っています。ミニコミ紙を通じて素晴らしい人達に会えた事が私にとって大きな財産です。

【高木】「はーとトフルたうん」は歴史的なことが多く取り上げられていますが?

 精神風俗史
に学生時代没頭

【渡部】大学時代、日本史の精神風俗史を専攻していました。簡単に言うと「織田信長がああいう性格だから、こういう歴史が作られた」といったような、どちらかというと時代風俗とそこに関わる人間の精神構造を分析するものです。今でも歴史が好きで、五霞町や幸手市等、近隣には興味深い歴史がたくさんあります。ぜひ、「はーとフルたうん」を読んで下さい。毎年、NTT主催「全国タウン紙フェステイバル」というのがあり、私も参加しています。700誌以上の応募があり、その中から80誌程ノミネートされます。「はーとフルたうん」もノミネートされた事があり、とても励みになりました。そのせいか他県からの購読希望10人位おります。

【高木】ミニコミ紙も全国ネットの時代ですね。ところで、渡部さんは五霞町以前は?

 進駐軍の香りと
裸電球が故郷

【渡部】生れも育ちも東京都北区赤羽です。私が幼い頃、赤羽には進駐軍関係の仕事をしている人が多く、父も当時としては珍しく英語が話せましたので、進駐軍で通訳の仕事をしていました。父は良く「人間には誰でも3回チャンスがある」という言葉を言ってましたが、敗戦後の職業の無い時代に、ほとんど偶然のように通訳試験に合格し、採用されたことは私にも「やれば出来る」という大きな影響を与えたものと思っています。当時、赤羽は裸電球がたくさんつながり、子ども心にその灯りが印象的で、とてもいい時代を過ごしたような気持ちです。今でも、その裸電球と人の暖かさやぬくもりが重なり、大事な感性を培ったと思っています。

【高木】だから、生きているものすべてがパートナーとして感じられるのでしょうね。

アニマルパートナーの
行ける場所をもっと

【渡部】そうかもしれませんね。でも、クロベエもパートナーとして認知されるためには、厳しい指導がありました。クロベエとは、いつでも、どこへでも一緒に行きたいと思っていましたので、人間に対してのマナーも教えました。おかげさまで、この地域にはクロベエが入れるお店がたくさんあります。盲導犬としての役割やアニマルセラピーとしての役割等アニマルパートナーの活躍する場は限られていますが、人間も動物もみんな同じという気持ちが大切と感じます。

【高木】クロベエは大きな病気にかかったとか?

 偏平性上皮癌とポリープ
手術で一命を

【渡部】偏平性上皮癌という骨肉腫のような癌で、町田市の麻布獣医大学の信田(しだ)先生が手術しました。先生は癌の手術では日本一と言われている方で、アメリカで動脈を切る技術を学んできた直後に、クロベエの動脈を切って、あごの骨を3分の1とる大手術を成功させました。手術が10日遅れたら癌細胞が血液中に入っていたというギリギリの状況で助けられました。

【高木】本当ですね。クロベエのあごの前の部分は欠けていますね。癌とどうして判ったのですか?

【渡部】日頃は五霞町の苦瀬動物病院と幸手の桑島動物病院にお世話になってます。クロベエが癌の時は、桑島先生にお世話になりました。初期の段階で、わずかな異常に気づき病理検査で判りました。先生も自分の勉強になるからと、治療に傾注してくださいました。又、去年お今頃は窒にポリープが出来て出血が止まらず大学病院に行く寸前にクロベエがおかしくなってきた時、休診日の夜なのに苦瀬先生の適切な応急処置で危ない所を助けて頂きました。麻布獣医大学の信田先生もご自分の用事をキャンセルして緊急手術をして下さいました。600cc(小型犬一匹分位の血液)も輸血しました。3人の先生のお陰で、今は元気印のクロベエです。ここでも、クロベエを通じて人間同志の信頼関係の大切さをつくづく感じました。

【高木】クロベエも、10才だそうで、人間でいえば56才とか、パートナーシップを大切に頑張って下さい。では、お友達をご紹介下さい。

【渡部】今お話しました桑島先生をご紹介させていただきます。

【高木】ありがとうございました。

(クロベエを連れて、どこへでも行けるように、そんな場所がもっと増えたらいいなとアニマルパートナーと二人三脚でボランテイアにミニコミ紙に頑張るお2人でした。)

 



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