桜のつぼみも大きく膨らみ、いよいよ春満開の季節になりました。今日は宮田歯科医院院長の宮田幹郎(もとお)さんより高校の先輩として親しくされ、幸手市中四丁目で料亭「ときわや」を経営されている増田行雄さんにお話を伺ってまいりました。
料亭 ときわや
社長 増田 行雄さん
本紙取材 高木康夫
【高木】宮田さんの高校時代の先輩で、相談相手と伺ってますが。
【増田(敬称略)】宮田さんは弟と中学の同級生で、私とは春日部高校で先輩後輩の関係です。今では高校の集まりなどで親しくしてます。高校の集まりは酒の席が多いので、まあ、飲み友達ですね。
【高木】なるほど。高校時代のお二人は。
私は野球部・彼は帰宅部
先輩に青島健太
【増田】私は野球をやっていましたので、一緒に遊んだ事はあまりありません。宮田さんは帰宅部に所属してたと言ってますから、(笑い)現在の方が仲良しですね。
【高木】部活に燃えていたのですね。
【増田】坊主頭で気合が入っていました。高校時代はあと一歩のところで甲子園を逃しました。私たちの頃は野球部が結構強く、一学年先輩には、今スポーツキャスターとしてビールのCMにも出演している青島健太さんがいました。今では出世頭で、母校に講演によく来ているようです。
【高木】「ときわや」さんは歴史があると伺っていますが、将来の事は考えなかったのですか?
【増田】実は高校時代は家業は継ぎたくないと思っていて、商社に勤めたいと考えてました。商社マンなら野球も出来ると思っていたのでしょう。
【高木】何がきっかけでこの世界に入ったのですか?
短い髪を伸ばしはじめて
就職戦線突入
【増田】学生時代野球ばかりでしたので、シーズンオフになると費用の捻出にアルバイトをするのです。そのアルバイトがサービス業の典型ともいうべきニューオータニでした。アルバイトを通じて飲食関係、特に和食の魅力に惹かれたように思います。大学四年の時ですが、まわりが就職活動を始め、リクルートカットに髪を切ったりしていくのです
。だんだん自分も就職しなければという気持ちと、就職したいなという気持ちが強くなってきて、野球をしてた短い頭髪を伸ばし始めました。
このころ家業の事を考えはじめたのですが、いずれにせよ修行をしなければと思い、調理の学校などへ行くよりも実践で学ぼうと、エスカイヤクラブで有名な飲食業の大和実業というところに就職しました。
【高木】パブとか多角経営されている会社ですね。
【増田】当時、全国どこでもボトルが出てくるコンピューター管理システムが売りのお店で、バニーガール姿のウェイトレスがいる接待族御用達のクラブや、居酒屋などアフターファイブのお店を全国に展開しています。私は、その中のエスカイヤクラブ和食店というお店に配属になりました。大和実業という会社は社長が大阪で屋台からはじめたもので、新しい業態として懐石料理のお店を開店することになり、その一号店に勤務することになったのです。
【高木】だんだん「ときわや」さんに近づいて来ましたね。
ぼうずと呼ばれ
修行一期一会を学ぶ
【増田】住み込みでしたから、二十二才の時、いきなり「食う所と寝る所」が出来ちゃった訳で向上心がないとぬるま湯に浸かってしまう環境でした。また、職場も本格的懐石料理を出すところですから、腕の良い料理人がたくさんいて、新入りは名前も呼ばれずに「ぼうや」とか「ぼうず」とか呼ばれて仕事を教わっていました。調理場にはポジションがあって、「焼き方」とか「脇鍋」とか役割によって仕事が割り振られ、それが相撲でいう番付のように肩書きになるのですが、二年目になってやっと駆け出しである「脇鍋」の脇を努めることが出来ました。
【高木】そこで学んだものが、現在生きているのですね。
【増田】私は一期一会という言葉が好きで、それがポリシーになっています。不幸な思い出ですがエスカイヤ時代、私の出した松花堂弁当を召し上がってくれた方が、飛行機事故で亡くなり、先輩が事故を知って、「おまえが作った弁当を食べてくれたお客さんだよ」と教えてくれました。その時に、料理に手抜きをしなくてよかったと思ったのです。大袈裟なことかもしれませんが、常に自分が対する物事には自分のすべてをかけたいと思うのです。
【高木】なるほど、店づくりにもポリシーを感じますね。お客さんも女性層が多いようですが?
【増田】平成二年に幸手に戻り、もう七年になりますが、当店は私が五代目で、創業百年を迎えてます。毎週木曜日を定休日として、ランチタイムは十一時半から二時半まで営業し、夜は五時から十時まで営業しています。ゆっくりと寛ぎながら味わったり、語らったりして欲しいというのが基本で、修行した懐石料理をときわや流にお出ししてます。京懐石が基本になってますから女性層に支持されているのかなと思います。個人的にも京都が好きで、シーズンごとに出掛け食べ歩いてます。
【高木】京都には一人で行かれるのですか?
花嫁募集中!
一緒に四季
それぞれの京都へ
【増田】野球をやって、修行して、気がついたら、独身です。花嫁募集中ですので、健康で気さくで共に仕事を手伝ってくれる方よろしくお願いいたします。一緒に京都に行きましょう。(笑い)
【高木】読者の中で増田さんをご覧になりたい方がいらしたら、「ときわや」さんへ、まず、食事に出掛けましょう。それでは、お友達をご紹介下さい。
【増田】私が小さい時に近所にお住まいで、現在は久喜市栗原で宝石や貴金属品のお店「アルデイラ」を経営されている梅沢査枝さんを紹介します。お話していると商売の哲学が学べますし、私の料理に対して評価してくれる方です。
【高木】ありがとうございます。これからも幸手でおいしい懐石料理を食べさせて下さい。
(スポーツマンであり、気さくな五代目は六代目の礎である伴侶を捜している様子、幸多かれと祈る。)