権現堂も桜まつりで賑わい、フレッシュマンも夢と希望に湧くパステルカラーの季節ですが、今回の友達の輪には「ときわや」さん五代目の増田行雄さんよりご紹介いただきました久喜市栗原にあるジュエリーショップ「アルデイラ」社長梅沢佐江さんに登場願います。
アルデイラ
社長 梅沢 佐江さん
本紙取材 高木康夫
【高木】こんにちは。増田さんのお料理を評価されてるお一人と伺ってますが。
【梅沢(敬称略)】友人と食事に、よく、ときわやさんへお邪魔します。女性だけでも入りやすく、お料理もおいしいし、雰囲気もむいているのでしょう。友達と言われるほど年が近い訳ではありませんので、この友達の輪に紹介頂いて恐縮してますが、増田さんはとても向上心のある人なので仕事の話などすると意気が合うという事で紹介されたのでしょう。
【高木】商売については哲学をお持ちと伺いましたが。
笑顔が素敵な職業
商人になりたい
【梅沢】哲学なんてないですよ。私は幸手で育ったのですが、小学生のころ母によく連れられ、成田呉服屋さんに行きました。そこで、成田さんのおばあちゃんがいつもニコニコ迎えてくれ、その笑顔がとても素敵だったので、大きくなったら私も笑顔いっぱいの商人になりたいと思っていました。幸手商業高校を卒業後、三井銀行に入社し、はじめてのお見合い相手が時計屋さんでしたのと、お見合い当日午後二時の約束に柱時計の音と同時にやって来た出会いが、この業界へのスタートなのです。
寝る間も惜しんで
仕事が楽しい
【高木】時計屋さんだったのですか?
【梅沢】主人の関係で館林で開業したんです。始めた頃は信用もなく、現金仕入れでしたからショウケースいっぱいの商品を並ベられないのです。苦肉の策ですが、時計のケースを一緒に並ベてショウケースを埋めた思い出があります。主人は外商で毎日が営業でしたし、子どもが二人いましたので、一人を負ぶって、一人を抱いてお店にいました。子どものおむつを取り替えているのをお客さんが待ってくれるというのんびりしていた時代でしたけど、夫婦一緒に夜遅くまで仕事をしていましたね。
【高木】 いつ久喜に!
【梅沢】仕事中心の生活と妻や母としての役割が重なり合い、精神的にも負担が多くなり主人といろいろ相談をしました。実家が近い地域であれば子供たちを見てくれる親もいるし、心のゆとりも出来るのではと考えたのです。また、館林では消費人口が将来期待出来るものではないという判断もあり、借金をして分譲されていた幸手市緑台にお店を構えたのです。
【高木】まず、幸手に戻ったのですか。それから現在の久喜に?
夢中になった商売と
振り返った自分自身
【梅沢】後発組でしたので顧客も信用もないですから、お客様に来て頂くための研究をずいぶんしました。駐車場を完備させたり、メンバーズカードを発行してDMをこまめに出したり、折り込みチラシに宝石をどうレイアウトしたらいいかとか、本当に手探りでひとつひとつチャレンジしました。ジュエリーの写真撮影にカメラマンも徹夜なんてこともありました。今は効率時代なのに、二十四時間しかないから人が寝ている間にも仕事をなんて思って、朝まで商品コピーなんかも考えていました。(笑い)
【高木】ずいぶん頑張っていたのですね。
【梅沢】とにかくおもしろかったのですね。やればやるだけお客様が増えた時代でした。地域一番店を目指し、30%のシェアを目指し、つらいときでも笑顔で応対と猛烈でしたね。
でも、振り返ると夫も私も仕事一辺倒な人間になっていて、妻として母として果たして良かったのか疑問を感じ始めたのです。お店は大きくなり、子どもも育ち、そんな中で、自分自身、人間として活かされているのだろうか悩みはじめました。いろいろあったのですが、自分で自分を誉めてあげられるお店を作りたい思い、息子たちとも相談して、主人と別のお店を経営することにしたのです。
【高木】梅沢さん一人でですか。
念ずればかなうものなんでもやってみるものだ
【梅沢】主人の商圏と重ならず、今までのお客様の層の薄いところを選びマーケテイングしました。不動産情報から捜すのではなく、自分の目で立地場所を探して行きましたら、久喜新道に面した場所になりました。今は、この辺りはお店が多くなりましたが、当時は喫茶店とおとなりの寝具店さんぐらいでした。そして、今度は登記所に通い土地の所有者一件一件お願いに伺いました。登記所の方も毎日通ってくる私に「見つかるといいね」と声をかけてくれました。(笑い)なかなか、なかったのですが、この場所だけサラリーマンの方が所有されていて、等価交換なら考えてもという返事をもらったのです。当時、幸手市内にアパートを所有してましたので、そこと交換出来ないかお話すると、差額を頂けばOKとのこと、ものすごくうれしかったのを覚えています。長岡出身の詩人、堀口大学の詩に「雲を掴むような思いでも念じていれば詩に凝る」というのがありますがまさに「なんでもやってみるものだ」という実感でした。
【高木】思いが通じるということですね。
年を重ね輝きを増す
私は50カラットよ
【梅沢】生きてきた分だけ経験も積みましたし、子どもの大学受験とお店の開店のどちらが早いかなんて競争もしてましたので、なんでも前向きに楽しく構えられた結果と思います。今、五○才ですが、年を重ねた分だけ輝きが増していると思っています。友人には、カラットに置き換えて、「私は50カラットよ」と言ってます。(笑い)アルデイラという意味もフランス語で「今を超えていく」とか「困難を乗り越える」という意味なんですが、カンツオーネに出てくるアルデイラという女性の名でもあります。アルデイラは腰がくびれて、胸が大きな女性らしい女性なんです。そんなメリハリ持った女性のためのお店と位置づけています。毎週火曜日が定休日で午前十時から午後八時まで営業しています。財産になるようなジュエリーは売っていませんが、日常頻繁に身につけられるジュエリーと生活のトッピングである香、ポプリも扱っています。趣味のひとつですが、四月からブランド品のリサイクル委託販売コーナー「Anne」も設けました。ぜひ、気軽にお越しください。
【高木】それでは、お友達をご紹介下さい。
【梅沢】幸手市東にお住まいで保険のお仕事をされている鈴木まさ子さんを紹介します。鈴木さんは自分自身を崖っ縁において物事を考えられる方で、だれにでも平らに接することの出来るすばらしい方です。私もいつも尊敬しており、見習いたい方です。
【高木】ありがとうございました。これからも、生活にゆとりを与えるお仕事として女性のためにご活躍下さい。
(とても明るく、元気で、なんでもお話してくれる頑張り屋さんという印象でした。)