さくらマラソンの号砲が響き、権現堂堤のさくら祭りも今日が最終日です。この時期にはたくさんの人たちが満開の桜を楽しまれ、いよいよ新緑の季節を迎えます。新しい生活を目の前にして、心を弾ませているかたも多いことでしょう。本日の友達の輪は幸手民謡連合会長の野口政ニさんよりご紹介いただきました張替勝太郎さんに登場していただきます。張替さんは張替商店を経営されている方です。
張替商店
代表 張替 勝太郎さん
本誌取材 木 康夫
【木】こんにちは。新しい芽吹きの季節ですね。野口さんから同級生と伺ってまいりました。本日はよろしくお願いいたします。
【張替(敬称略)】こんにちは。取材の木さんとは、大分前のことですがPTAの役員同士ということで知り合いましたが、その節は大変お世話になりました。今日はよろしくお願いします。
【木】早速ですがお仕事について伺いたいのですが?
素人ながら開業
【張替】当店は昭和四十四年に張替商店として創業し、今年でちょうど四十年になります。創業当初は農家向けの肥料と飼料の販売でしたが、昭和五十年代の減反政策が始まったころ、輸入食品も多く入ってくるようになったので将来を考えて園芸関係にも力を入れるようになりました。その後、草花や野菜苗など種子を蒔いての育成販売もしています。専門的な勉強をしていませんので、最初は失敗ばかりでした。農家ばかりではなく家庭菜園ブームの現在は、状況にあった品を提供すること、そして、今後は簡単にできるベランダガーデンについても対応を考えています。ここまでこられたのも、お店をご贔屓にして下さるお客さんをはじめ、陰で支えて戴いた多くの方々のお陰と感謝しております。
【木】PTAや子ども会などで長く活躍されていますね?
植物から学ぶ
【張替】私が中学二年の時に父が不治の病に倒れてしまい、その時は地域の皆様をはじめ、沢山の方々に本当にお世話になりました。長い間、PTAや子ども会等の役員をお手伝いさせて戴いたのは、お世話になった世間の皆様に、ご恩をお返しするつもりでやらせていただきました。また、役員などの活動を通じて、さまざまなことを学ぶことができました。また、苗づくりをして植物から教わることも沢山あります。本当に植物は凄いんですよ。植物は親から与えて貰えるのは遺伝子だけで、あとは種子自体が、発芽の適期を自分で判断し、自力で自分を守りながら発芽するのです。人間や動物の子どものように守ってはもらえません。時には強風に、低温に、強い日差しに、雨水に、そして虫や細菌に、立ち向かいます。植物は自分自身を自分で守り、育てる力も備わっています。茄子の苗の発芽後の生育を観察していて、驚くことがありました。子葉が葉柄や葉身を巧みに操作して、生長点や本葉に対して時には厳しく、時には優しく、時には身を挺して守ってあげるという人間や動物の親と同じ動きをしているということ、そのような動作を見て私は大感激でした。厳しい環境のもとでも、守り、育てようとしているのです。
【木】自然界には学ぶものが多いですね。今の時代に欠けているものがありますか?
厳しさも必要
【張替】そうですね。人も動物も、そして植物も、子どもを育てる気持ちは、皆同じなのではないでしょうか。子どもは社会の、世界の将来を担う宝です。少子化、核家族化、高学歴社会、文化生活、不安定な政治・経済、非行の低年齢化も報じられています。このような時だからこそ、地域、家庭、学校、行政がより力を合わせて子どもたちの健全な育成に努めなければならないと思います。子どもの意思を尊重する事は大事です。大切なことは子どもたちに自由だからとなにをしてもいいんだといった誤解を与えないことです。自由とわがままは違います。規律の中での自由という事を教えなければならないのです。子どもには愛情とともに、規律を守らせる厳しさも必要なのです。
【木】座右の銘などお持ちなのですか?
「万物皆師也」
【張替】私の座右の銘は「万物皆師也」です。現在の私があるのは、出会った数多くの人たち、陰で支えてくださった皆様のお陰ですが、また、動物や植物、鉱物などの自然からも、いろいろなことを学んでいます。今心がけていることは、何事も半歩でもいいから前へ出ることを目標にしてやっています。例えば、ラジオ体操の精神のように「少しでも体を先へ伸ばすようにしよう」と心がけています。また、三百六十五歩のマーチ(幸せはあるいて来ない、だから歩いていくんだよ♪)の歌も私の生活の礎となっています。この歌の「幸せ」という言葉はすべてのものに置き換えて歌うことができます。また、ただ進んで行くだけでなく、「三歩進んで二歩下がる」といったように一寸退いて自分を見つめ直す事も必要ですね。そうすることによって進むべき方向が分かったりもします。今は、景気が悪い世の中ですから、自分を見直す良いチャンスだと捉え、この機会にさらに新しい営業方針を考えています。それから、妻とは結婚して四十五年になります。私と結婚したために、若いころに夢見たであろう洋裁での立身を断念させてしまった妻に申し訳ないと思いつつも、これからも二人手を携えて、お客様を大切にし、三百六十五歩のマーチを口ずさみながら、「日々是新也」の気持ちで家業に努めていきたいと思います。今後とも皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【木】では、お友だちをご紹介下さい。
【張替】インテリア関係の仕事をされている塚山武雄さんを紹介します。習字や仏画などに関心の高い方です。
【木】本日はお忙しい中ありがとうございました。益々のご活躍をお祈りいたします。
(張替さんは日本PTA連合会と全国子ども会連合会から全国表彰をうけられているほど活躍されました。また、市議会議員としても文教問題に関して活躍されていた時期もあり、子ども会に関わって約四十年という大ベテランな方でした。)