植物は太陽の光を浴びてすくすくと育ち、初夏の景色を楽しめる時期になってきました。季節の草花を探索するのも楽しい季節ですね。本日の友達の輪は張替商店を経営されている張替勝太郎さんよりご紹介いただきました塚山武雄さんに登場していただきます。塚山さんは書道をはじめ仏画などを描く多才な方です。
ホームインテリア つかやま
代表 塚山武雄さん
本誌取材 木 康夫
【木】こんにちは。桜まつりでにぎわっていましたが、桜堤もすっかり緑におおわれ新緑の季節となりました。張替さんから長いお付き合いと伺ってまいりました。本日はよろしくお願いいたします。
【塚山(敬称略)】こんにちは。張替さんとは商売で長いお付き合いが続いています。仕事仲間としていろいろと教えていただいています。友達の輪で紹介されるとは思ってもみませんでした。今日はよろしくお願いします。
【木】お仕事のかたわら書画をされていると伺いましたが?
五十で始めた書道
【塚山】家具店で長い間営業の仕事をやっていました。現在は独立してカーテンや絨毯、クロス、襖などのホームインテリアを取り扱うお店をやっております。また、いろいろな趣味も楽しんでおります。いろいろといっても書道が原点となって始まったものですから、すべて筆を用いた趣味ですね。書道は五十歳に始めたものですが、今でも同じ先生に習っています。五年ほど前に先生から「清峰(せいほう)」という雅号(がごう)をいただきました。
雅号とは、文人・画家・書家などが、本名以外につける名のことで、一般に日本の古典芸能で使われます。私の書道の世界での名前です。ですから、書道の作品にはこちらの名前を使っています。私が現在得意としているのは書道の種類で「隷書」(れいしょ)というものです、書道には「楷書」「草書」「隷書」「篆(てん)書」といろいろ種類があります。隷書は左右の払いで波打つような「波磔(はたく)」をもち、一字一字が横長であるのが主な特徴です。字体が横長になったのは、木簡などに書くようになった文字が始まりといわれ、木に書くのには普通に筆を止めていたのでは墨だれしてしまうため、こういった横の払いが特徴的な形になったのです。難しく感じますが、タッチや形はもう決まっていますので、一般的な書道のように筆で書きます。ただ、隷書の場合は書き順が違ったり、二度書きしたりと特徴的ですね。
【木】仏画もかかれていますが描こうと思ったきっかけなどあるのですか?
写経から仏画へ
【塚山】仏画は始めてから十年ちょっとです。仏画とは、礼拝対象として仏・菩薩など仏教的な画題を描いた絵画のことです。仏様に関係することを何かやろうと思って、最初は般若心経の写経から始めました。写経をやろうと思ったのは、たまたまお隣さんが火事になり隣焼してしまったのです。ところが、仏壇の手前でちょうど火が止まったということがありまして、それ以来、仏様への感謝の気持ちを込めて始めたのです。般若心経は全部で二百六十二文字あります。間違えないように、ひと文字ひと文字精神込めて書くことが大事です。心を込めて書くと大体二時間くらいかかりますね。何度も写経していますから、内容もほとんど覚えてしまいました。般若心境の意味はそれを読むこと、書くこと、によって仏様に一歩でも近づこうという修行のひとつでもあります。ですから、写しているときは何も考えずに行います。日本では仏教各派、特に法相宗・天台宗・真言宗・禅宗が般若心経を読経し、その宗派独特の解釈を行っています。始まりは摩訶般若波羅蜜多心経(まかはんにゃはらみったしんぎょう)というものです。耳にしたことがあるかと思います。
【木】写経から入ったのですか。
書等を掛け軸に
【塚山】そうですね。写経をやりはじめて少したった頃、自分の作品を掛け軸にしようと思ったのです。それで、ある方のところに習いに行ったのですが、そこに居た方の書く仏画がとてもすばらしく、ぜひ私もやってみたいと思って始めました。仏画といってもいろいろな絵があります。曼荼羅、毘沙門天や、観音様などいろいろです。曼荼羅にもいろいろありますし、宗派によっても様々ですね。如来様では釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来、盧舎那仏、大日如来等々こちらもそれぞれ全く異なるものです。仏画の奥深さも魅力の一つだと思います。仏画は筆で絵具は岩彩というものをつかい描きます。私が初めて描いたのは十一面観音でした。実は仏画はまったくの独学で、参考書を見ながら描き始めたのです。絵を本格的に始めたのも仏画を始める前まではなかったことで一から勉強でした。仏画の仏様は「目」が命です。目にいかに力があるか、慈愛があるのか、怒っているのか、など表現することがとても大事です。これによって絵のほとんどが決まります。仏様はほんとうに沢山の形態があって、描いていて面白いですね。それと、仏画のほかに水墨画で風景も描いています。スケッチをやったり、模写をしたりしています。水墨画は自然の雰囲気を白と黒で表現するところが難しいところです。光の強弱を白と黒であらわすのです。光のあたる部分というのは白くなります。白い部分は筆を入れない部分ですので計算しながら描いて行きます。後から修正がきかず難しいのですが、そこが面白い部分であったりしますね。水墨画を描いていて感じるのですが、一番伝えたい部分を印象的に書くことが絵としての味わいにつながります。そして、今は篆刻(てんこく)をやっています。もう、二年ぐらいになりますが、自分の雅号を彫って作品に押しています。そして、今では掛け軸も自分で作ることが出来るようになりました。仕事でも趣味でも家内の協力で出来るものですので、家内には深く感謝いたしております。
【木】では、お友だちをご紹介下さい。
【塚本】金物店を経営している関口光宏さんを紹介します。
【木】本日はお忙しい中ありがとうございました。益々のご活躍をお祈りいたします。
(塚山さんはさくら祭りに訪れる方たちにご自分の作品を見ることができる特設会場を設けていました。また地域では民生員もされており高齢化が進む中で、安心して住みやすいまちづくりに取り組まれています。「少しでも地位に貢献できれば」と明るく話されていました。)