2009年5月10日


ゴールデンウィークもあっという間に過ぎ、五月晴れの行楽日和が続いております。さて、本日の友達の輪は「ホームインテリアつかやま」の塚山武雄さんからご紹介いただきました関口光宏さんに登場していただきます。関口さんは市内で関口金物店を経営されています。

滑ヨ口金物店
代表取締役社長 関口 光宏さん
本誌取材 木 康夫

【木】こんにちは。塚山さんからご近所ですがたくさんの趣味を持っておられる方とご紹介いただきました。本日はよろしくお願いいたします。

【関口(敬称略)】こんにちは。塚山さんから紹介されて恐縮しています。こちらこそよろしくお願いいたします。

【木】関口さんのお店は古くからやられているお店なんですか?開店時間も早いようですね?関口光宏さん

私で三代目

関口そうですね。当社は私で三代目になります。創業はおじいちゃんが大正時代に興したものです。当店の金看板は先々代が自らブリキを打ち出して作ったものです。当時の技術の高さが感じられるものなのでいつまでも大切にしたいと思っています。そして創業から金物一筋で営業しております。取扱商品は建築関係のものと家庭金物全般です。とくに土木建築の方は、仕事の前に資材の調達をされることが多く、それでご要望に応え朝は七時にはシャッター開けそのまま開店となります。創業以来、お客様に支えられこのようなスタイルでやっています。私は二十七歳で跡を継ぎましたが、それまでは全く畑違いなサラリーマンをやっていました。今は七十歳になりますから、かれこれ四十年以上になりますね。良いお客様、良い友達に恵まれて本当に幸せです。

【木】四十年も経ちますと、だいぶ街も様変わりしてますね。

自社ブランド包丁、鎌

関口そうですね。この不況に負けないように幸手の商店街が一丸となって頑張っています。当社は五霞町、久喜市、栗橋町など近隣の方々にも多く利用いただいております。来店いただいたお客様に「目当ての商品がない!」なんてことにならないように気をつけています。創業以来「金物なら何でも揃う」というのが、当社のキャッチフレーズですからアイテム数はかなりのものになります。その中に当店オリジナルの商品があります。その一つは包丁です。「関口」と刻印が入っています。新潟県三条市のものでとても良い鋼を使っており、三十年以上前からずっと販売しているロングセラー商品です。ご家庭はもちろん、プロの料理人の方、学校給食の調理士さん、花嫁道具の一つとして母から娘へ、沢山の方に愛され使っていただいています。この関口ブランドの包丁を購入していただいた方には研ぎを無料でやらせてもらっています。切れ味が鈍くなってきたらいつでも気軽にお持ち下さい。新品と同じようにきちんとケア出来ます。一生ものですね。もう一つのオリジナル商品は鎌です。福井県武生の鎌職人の手作りでいろいろな鎌を取り揃えています。包丁も鎌もどちらも自信をもってお勧め出来ますよ。これからも自社ブランドを増やしていけたらいいと思っています。

【木】すごいサービスですね。趣味を伺いますが、書道も長くやられているそうですね。

書道から刻書へ

関口光宏さん

関口元々は習字をやっていました。習字が好きで小学校のときからやっています。我々が小学生の時は、戦争中だったもので物資も不足していて、新聞を半紙代わりとして使っていました。何度も何度もそこに書いたものです。以来、ずっとやっていましたが、市内にある墨光書道学院の初代院長であった素光先生の指導を受けたのです。この先生は大きな文字を書くのが得意な先生でたくさんのお弟子さんがいました。私の雅号は、海という字が入っていまして、「光海(こうかい)」と「素海(そかい)」と言います。私は真言宗なので、空海から名前をひとつもらいました。そして書道から、刻書という道に入ったのですが、今から六、七年前です。刻書は筆で書いたものを木に掘るものです。刻書の方法は、まず筆で書いたものを板の大きさに合わせて、コピーして字の大きさを揃えます。そして、カーボン紙で板に文字を写します。それから木を彫刻等で彫るのですがこれが大変です。固いものですから彫刻等を木槌で叩いて掘っていきますが、筆のタッチを出すのが非常に難しいのです。最初は、同じ太さで掘っていくことがとても難しくて、だいぶ練習しました。掘る時は何時間か集中して仕上げます。大きい作品だと一ケ月くらいかかるものもあります。

【木】力強い作品ですね。題材は好きな言葉などですか?

論語と漢詩との出会い

関口こちらの木には「行不由径」と書いてあります。主に論語などから引用します。立派な教えがたくさん書いてあります。こういうものを書くためには、中国の古典にも精通しないといけませんので論語を読めるように勉強しています。論語というのは、孔子の教えを記したものなのですが、この論語を学ぶことによって「商売の基本」についてとても勉強になります。まだまだ、これから勉強していかなければならないと思っています。そして、商売上に活かしていきたいと思っています。漢和辞典を片手に仕事の合間合間、時間を見つけては一生懸命やっています。自分自身の生涯学習ですね。今後は論語をさらに身につけて、書をもっと極めていきたいと思っています。そして、自分なりの解釈をして、心の持ち方なども成長させていきたいです。論語を読んで、その中から引用し、刻書にするというのが私の今の一番の楽しみでもあります。

【木】奥深い生涯学習ですね。では、お友だちをご紹介下さい。

関口業界の先輩であります益山材木店の益山貴司さんをご紹介します。楽しい話が聞けると思います。

【木】本日はお忙しい中ありがとうございました。益々のご繁栄とご活躍をお祈りいたします。
(関口さんは今年になって表の金看板を化粧直しされたそうです。創業時から引き継がれた看板には歴史がいっぱい詰まっていたようです。温故知新を大切にされる方でした。)




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