強い日差しの中、真っ黒に日焼けした子どもたちが元気に走り回っている姿を見かけなくなりました。本日の友達の輪には幸手市体協上高野支部長さんよりご紹介いただいた、坂田栄男(しげお)さんに登場いただきます。
全日本美術協会
元会友 坂田 栄男さん
本誌取材 木 康夫
【木】こんにちは。吉岡さんから朝のウォーキングでご一緒のとご紹介いただきました。本日はよろしくお願いいたします。
【坂田(敬称略)】吉岡さんから話をいただき驚いています。何を話せばいいのでしょうか(笑)吉岡さんとはソフトボールと、ウォーキング仲間です。毎朝、仲間と共にウォーキングを始めて四〜五年経ちました。
【木】きっかけはなんですか?どこに行くのですか?
子どもたちの挨拶
【坂田】一番の目的は健康のためですね。しかし、一人だとなかなか長続きしないものですから、何人かで集まって歩くことにしたのです。平日は少数ですが、土日になると会社が休みの人も加わって六〜七人で歩いています。今の時期は朝七時に集合しています。ウォーキングは行って帰ってくるまで大体一時間半くらいですね。自宅から杉戸高野台〜和戸のほうまでいくこともありますよ。葛西用水沿いをずーっと休み休みながらですが歩いています。いつでも仲間同士おしゃべりをしながら楽しんで歩いています。話題は、健康に関することや、地域に関することなど色々ですね。とても楽しくてストレス解消にもなっています。歩いているとたくさんの通学途中の子どもたちとすれ違います。最近は挨拶が出来ない子が多い中、元気にあいさつをしてくれる子たちがたくさんいます。朝の散歩のときに子どもたちとすれ違って明るく声をかけてもらうとなんだか一日がとても楽しくなります。気分が全然違いますね。各地区の小中学校も挨拶について指導されているのだと思いますが、こういうちょっとしたことが明るい街づくりにつながるのでしょうね。散歩のときにはぜひ挨拶をしてもらいたいし、こちらからも声をかけていこうと思っています。
【木】子どもたちの挨拶は気持ちがいいですね。坂田さんはお仕事はされているのですか?
ペンシルロケット
【坂田】私は東京の大井町出身で、自宅を購入するのをきっかけにこちらに越してきました。かれこれ三十年になります。私は京浜地区にたくさんあった町工場の技術屋で、去年ちょうど七十歳で引退するまで、ずっと機械造りの仕事をしてきました。長い経験の中で思い出もたくさんあります。町工場に入社したばかりの頃、ロケットの産みの親といわれている東大宇宙研究所の糸川英夫博士が、ペンシルロケットの開発を行っていました。その部品を私の務めていた町工場が製作担当したのです。良い技術や良い職人たちの集まる職場だったのだと思います。秋田の道川海岸でロケットを斜め上方に打ち上げる実験を行った時は社長も立ち会ったほどです。技術屋として長くやってこられたのもこの社長のおかげです。実は、仕事を始めたばかりのころは、しょっちゅう怒られていました。でも、社長自らが「こうやってやるんだ」と言って手を取り教えてくれたことが、今でも記憶に残っています。それから社長を師匠と思い、ついていこうと思って夢中で機械関係の仕事を続けてきました。あっという間にこの歳になってしまいました。(笑)
【木】油絵が趣味と伺いましたが?
全展入賞の油絵
【坂田】昔から絵を描くのは好きなのですが、油絵を本格的に始めたのはここ二十年ちょっとのことです。義兄が絵を描くのが好きで影響を受けたのでしょうか?でも、絵は習ったことがないので、自己流です。こういう人の絵がいいなと思ったら真似をして上達してきました。始めたころは、東京都美術館に出展することを目標にがんばりました。絵を描く人にとって東京都美術館は、野球でいう甲子園みたいなものですから。そして平成十三年に初めて東京美術館の「全展」に出品しました。応募は誰でも出来ますが、入選しないと飾ってはもらえないので簡単なものではないと思っていましたら、初出品で初入選という結果でした。入選の連絡をいただいたときは「夢がかなった」という思いでしたね。そして次の年には、新人賞までいただくことができました。それまで絵はいくつか描いてはいたのですが、東京美術館にまさか自分の絵が飾ってもらえると思わなかったので、とてもびっくりでした。私の絵は主に自然風景を描きますが、実は絵は最近ちょっとさぼり気味です(笑)でも、この間宇都宮に住んでいる十七歳の孫娘に薔薇の絵を描いてくれと言われて描きました。やはり孫に頼まれると張合いもあって筆も進みますね。
【木】微笑ましいですね。お元気そうですが何か健康の秘訣でもありますか?
健康の秘けつは
【坂田】七十歳まで現役で仕事をしてきましたが、仕事をしているということは経済的にもそうでしょうし、精神的にも気持ちの上でも違いますね。仕事も機械の加工をやっていましたので、ひとつひとつ終わると達成感もありましたが、終わらせなければというプレッシャーもあったと思います。でも、それらを解消するのに、歩くことがとても有効でした。これからもずっと続けていこうと思っていますし、楽しい仲間たちと過ごせることが何よりの宝物です。私の好きな言葉というか、文字ですが「人」という字が大好きです。この文字は、互いに支えあっていて、何も一人ではできないということです。仕事でも生活していく上でもそうだと思います。だからこれからもずっと仲間を大事にしていきたいと思います。
【木】素敵ですね。では、お友達をご紹介下さい。
【坂田】そうですね。直接紹介という形ではないのですが、市内に菊池美涼さんという活躍されているピアニストがいますよね。ぜひ、そういう若い世代にバトンをつなげたいのですがいかがでしょうか?
【木】ありがとうございます。では、菊池さんにバトンを託したいと思います。本日はありがとうございました。毎朝楽しいウォーキングを実践下さい。
(坂田さんは高校時代は野球部でピッチャーをされていたそうです。今でも野球をやっている子たちがいると「がんばれよー」と声をかけるそうですが「ありがとうございます」と応えてくれる野球少年から、挨拶などの大切さを感じるそうです。)