1997年9月7日

真っ黒に日焼けした元気な子供たちも二学期に入り、朝夕の風も秋らしさを感じさせる季節となりました。今回の友達の輪には幸手市緑台で鴨料理のお店たからや幸徳を経営されている柴田恵三さんよりご紹介いただきました元幸手高校PTA会長で柴田さんが緑台小学校PTA会長のときに副会長をされた緑台にお住まいの千原敏子さんにお話を伺って参りました。

元幸手高校PTA会長 千原 敏子さん
本紙取材 高木康夫

【高木】柴田さんが緑台小PTA会長のときに副会長として十周年を迎える準備にご苦労され、その後もPTAなどに積極的に取り組み、幸手高校でもPTA会長をされたと伺って参りましたが。

【千原(敬称略)】今から七、八年程前のことですが、私の長男が緑台小に在校中、柴田さんが会長として活躍されていました。翌年開校十周年を迎えるという年に、柴田会長のもと副会長として活動させて頂きました。長男が当時六年生でしたので翌年の十周年行事には直接関わらなかったのですが、前年の準備ということで充分なこともできないまま協力させていただきました。卒業後長男は栄中に進学したのですが、小学校時代にPTA経験をしたということもあり、中学でもPTA副会長としてお手伝いすることになったのです。

【高木】最近のPTAでは役員さんの選出が大変という話もよく聞きますが、小中連続ですね。

長男が突然倒れて
自分自身が変わる

【千原】緑台小十周年記念式典は六月に開催される予定でしたが、その前日に長男が中学校で突然倒れたのです。学校からの連絡ですぐに病院に飛んでいったのですが、脳内出血で左半身不随となりました。入学してまだ二ヶ月足らず、中学一年という年齢を思うと、事の重大さと共に将来のことまで頭の中で瞬間矢のように思いがめぐりました。ですから、PTAどころではないと思い副会長の役職を辞めさせて欲しいと思ったのです。 ところが、長男は「自分がこうなったから、お母さんが出かけないとかいうのはいやだ」と言うのです。私はもともと表に出るタイプの人間ではなく、家にいる人間だったのです。たまたまPTAに関わった事で、出る必然性が生じたのであって、自分としては家庭で子供のことを考えようと思ったのです。ところが長男にとっては家庭にいる私よりも表に出る私を評価していたようです。大変なハンデを背負った長男の考え方ですから、私もその事を尊重しPTAも続けることにしたのです。

【高木】そうでしたか。ご長男は現在どうされているのですか?

健常者扱いで
身障者の意識無し

【千原】長男はとてもラッキーで、中学の三年間も健常者扱いで過ごし、健常者と同じように幸手高校で受け入れてくれ、おかげさまで現在大学に通っています。福祉の勉強をして将来はその関係の仕事に就きたいと考えているようです。身体障害者三級という認定を受けておりますが、自立をするという本人の意思で下宿して一人暮らしをしています。

【高木】それで幸手高校でもPTA会長をされたのですね。

【千原】「高校でも!」と長男にはさすがにいやがられましたね。(笑い)でも、いろんな高校生を見てみたいし、話がしたいと思ったのです。変な話ですが、よく繁華街などを自由にフラフラしている高校生などを目にすることがありますが、フラフラすることが出来ていいなと思ってしまうのです。アルバイトばかりしている高校生を見るとアルバイトが出来ていいなと思うのです。親としては勉強もしないで困ったものだと心配するかも知れませんが、長男の生き方を通じて、「人を活かして見る気持ち」が強くなりました。

【高木】なるほど。その事は今でも同じですか。

感じたよ!
「家って仲いいんだね」

【千原】私共には二人の子供がおり、二十四才の長女が先日「家って、仲いいんだね。」と言うのです。長女なりに実社会を通じていろいろな家庭環境を感じてきたよう、それと比較して我が家が仲がいいと感じたのでしょう。今まで感じなかったあたりまえの環境がそうでなかったという実感が「仲がいいんだね」という言葉になったのでしょうね。なにか、うれしくなりましたね。たくさんの教育関係の方々がいらっしゃる中でおこがましいですが、家族単位で共通の話題がどんどんなくなっているような気がします。長男のことがあったからかも知れませんが、主人も子供たちのすることや私のPTAも応援してくれますし、子供たちもお父さんが大好きなんです。

【高木】うらやましいですね。趣味などは?

活かしてみる気持ち
一生懸命が作る自信

【千原】趣味は八年前からはじめた陶芸ですが、陶芸がしたいというのではなく集中出来るものを探していたら陶芸になったということです。それと、幸手高校は地域の要望で設置された学校としての歴史を持っており、地域交流のひとつとして月一回第一土曜日に一般参加が出来る陶芸教室を開催してますので、そこに参加してますから、幸手高校は子供が卒業しても私にとってはとても身近な存在です。ですから、学校に行くうちにインターネットをしている情報処理部の子供たちにとても関心を持ち、お邪魔虫として学校に良く行っています。現在幸手高校ではホームページも作っているのですがそのコンクールが全国規模で行われています。そこで、県大会で優勝してNHKでも二度ほど取材され放映されました。PTA会長をしている時もそうでしたが、私にとって一生懸命がんばっている子供たちの姿を見ているだけで楽しめる場所なんです。子供たちもホームページというひとつの事が認められると、それが自信につながって成績まで伸びてきました。ですから、「人を活かして見る気持ち」と「一生懸命が作る自信」という経験を高校生に伝えていきたいと思っています。それに、高校生と話しているととても若返りますよ。表現は悪いですが「若さのドラキュラ」なんて思っています。

【高木】それではお友達をご紹介下さい。

【千原】友達ですが、高校生でもよろしいですか。今、お話した幸手高校の情報処理部の中越美由紀さんを紹介します。彼女は私にいろいろと話をしてくれ、私も彼女の一生懸命さに感心しています。

【高木】ありがとうございました。友達の輪に高校生はダメということはありません。最年少の方から楽しいお話を伺いたいと思います。これからも、「お邪魔虫」として、またよき高校生の話相手として、ご活躍下さい。

(人を活かして見る気持ちという事が、出来そうで出来ないとても難しいことと思いました。千原さんの人から学んだ感性は、きっと高校生の敏感な感性に相性が良いのでしょう。)