1997年11月16日



 暦の上では立冬も過ぎ、そろそろ暖房器具が恋しい季節となりました。今回の友達の輪には日本おもと協会坂東支部理事である岡安 孝さんよりご紹介いただきました幸手市中で理容室を経営されている楽しくユーモアのある渡辺清さんに登場いただきます。

理容ワタナベ 店主
理容師 渡辺 清さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】岡安さんからご紹介いただきましたが、どんなご関係ですか。

【渡辺】岡安さんとは最初はお客さんの関係でしたが(現在もですが)、おもとでより親しくなり、それ以来いろいろな部分での友達です。

【高木】ひげがお似合いですが、トレードマークですか。

【渡辺】無精ひげですね。自分のひげは手間がかかるので、2ヶ月に一度くらいバリカンで刈るだけなんです。もちろん、料金を頂くお客さんのひげはちゃんとやりますよ。(笑い)

【高木】そうですか。床屋さんはいつから始められたのですか?

意志が無い自分
  安易な気持ちで床屋さんに

【渡辺】私は加須の出身で、5人兄弟の3番目なんです。今でも上の兄が後を継いでいますが、実家が床屋をしていましたので、自分の意志が無いまま(笑い)安易な気持ちで床屋さんになろうと、理容学校に通いました。そして、アパートを借りて都心の床屋さんに勤めたのです。今でこそ、床屋さんは週休二日制ですが、当時は、休みも少なく、唯一都心の銀座、新橋あたりでのみ、床屋さんは日曜祭日がお休みだったのです。ですから、休みが多く取れるという理由だけで店を選びました。(笑い)安易と言えば安易ですが、休みが多かった分だけ自由な時間が持て、なんだか結婚も早くしましたよ。(笑い)

【高木】なるほど。幸手にはいつお店を出したのですか。

【渡辺】いつまでも勤めをしていてもと思ったことと、いつかはオーナーへと考えていました。26才の時でしたが、この場所が販売されており、実家の加須にも近いし、予算もありましたのでこの幸手の地に決定したのです。それ以来ここで営業していますから、かれこれ24、5年になります。

【高木】現在は週休二日ですが、お休みの時はなにをしているのですか?

幼心から水への愛着
   そして、渓流釣りへ

【渡辺】自然が大好きで、休みになると山へ行ったり渓流釣りに出かけたりしています。生まれたところの加須市には「逢の川」という川が流れていて、幼い頃は川遊びをよくしました。小学校3年生の頃には、近くの利根川に行って、70メートル位の川幅を泳いで往復したりしてました。利根川の水温は夏でも冷たくて井戸水のようで、流れがあり対岸に着くまでに100メートル位流されるのです。当時、何人か犠牲者も出たようで、かなり危険な遊びをしていたものです。もちろん親に内緒でやっていました。(笑い)ですから、水に対してとても懐かしさや、哀愁があり、理容業をしながらも渓流釣り等に夢中になっていたのかも知れません。それに、渓流釣りは装備も竿2本と餌だけですから、手軽なこともありましたね。山づりの穴場である東北地方へはほとんど行きましたね。

【高木】現在もですか?

見極めの人生と
   水へのこだわり

【渡辺】実は、渓流釣りにはポイントを探すのに必然的に沢登りや、岩登りをするのです。楽しいことですから、苦にはならないのですが、岩崩れや、がけ崩れが起きることもしばしばあるのです。47才の時でしたが、自分自身で「体力がない」と感じましたので、辞めることにしたのです。昔からそうなんですが、何でも見極めをするのが、早かったようです。

【高木】何か他のものでも。

グロテスクな水棲昆虫
   きれいな水のバロメーター

【渡辺】現在は水棲昆虫を飼育しています。

【高木】水棲昆虫ってなんですか?

【渡辺】ゲンゴロウやタガメという昆虫の名前を聞いたことがあると思いますが、川の中に棲んでいる昆虫です。そのタガメという昆虫を飼育しています。

【高木】タガメですか?

【渡辺】川のギャングと呼ばれていて、小さな魚を捕まえて食べています。とてもグロテスクな昆虫なんです。お店の中の水槽に小魚を飼っているんですが、お客さんはこの魚を観賞用と思われています。実はこれはタガメの餌なんです。お客さんは餌を観て楽しんでいるんですよ。(笑い)タガメは生きた小魚しか食べませんから、川で獲ってくるのですが、現在の生態系の中で農薬などが体内に入っています。タガメは農薬にとても敏感で微量でもすぐに死んでしまいますので、餌となる小魚を水槽に一時飼育して、残留農薬を排出させているのです。あさりの砂抜きみたいなものです。(笑い)昔は、どこの川にもいたのですが、今ではペットショップで買うようになってしまいました。それだけ、自然が少なくなっていると言う事ですね。

【高木】タガメは何匹位いるのですか?

タガメがいっぱい
   ワニガメやザリガニも

【渡辺】数えたことはありませんが、50から100匹はいると思います。(水草が入れられ、タガメが外に飛び出すので網が掛けてある飼育用の容器が10個位ありました)飼っていれば自然に増えてきますが、同系で繁殖させるとすぐに死んでしまいますので、系列を分類して育てています。ですから、今でもペットショップで別系を買ってきたりしています。

【高木】本当にグロテスクですね。

【渡辺】もっとグロテスクなワニガメもいますよ。

【高木】ワニガメって、ガメラの子供みたいなやつですか?

【渡辺】そうですね。これですが(背中が山並みのようにギザギザになっている大きなカメを拝見)寒くなってくるので冬眠に入りそうですよ。餌用のザリガニもたくさんいますよ。

【高木】何か目的でも!

【渡辺】目的というものはないのですが、水と自然が好きということです。スポンサーでもあれば良いのですが、自然豊かな山の中に広い土地を購入して、川魚やタガメなどを研究しながら楽しみたいと思っています。タガメが医薬品になるのでは、なんて思うこともありますよ。(笑い)なかなか叶いませんので、豊かな自然を楽しみに休みの日は過ごしているのです。もちろん、毎日朝8時半から夜7時までは仕事一本で営業しています。

【高木】それでは、お友達をご紹介下さい。

【渡辺】幸手市北に住んでいる高橋千代子さんを紹介いたします。高橋さんは絵や彫刻などで活躍される芸術家で、最近では幸手中学校の正面入口に少女のブロンズ像なども建立されています。私が絵や彫刻をやっていたときに知り合った方です。

【高木】ありがとうございました。次回は記念すべき50人目の方ですので、ご紹介ありがとうございます。

(ひげが似合いグロテスクが好きと言われる中に、自然を大切に思う気持ちが伝わってくるとても楽しいユニークな方でした)

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