大雪に見舞われ、大変な1月も今週で終わり、いよいよ梅の花も咲き始める季節が到来します。今回の友達の輪には元幸手高校校長の高木秀雄さんよりご紹介いただきました、幸手市南にお住まいで現在職業相談員の尾崎憲司さんにお話を伺って参りました。
職業相談員
尾崎 憲司さん
本紙取材 高木 康夫
【高木】元幸手高校校長の高木さんから旧制中学の同級生ということでご紹介いただきました。よろしくお願い致します。
【尾崎(敬称略)】当時の幸手市はまだ町村合併が行われる前で、私は上高野村の上高野小学校から、高木さんは幸手町の幸手小学校から、それぞれ旧制粕壁中学へ進学しました。前号で高木さんが話されたように戦時中でもあり、私の家は代々農業を営んでおりましたので、軍人になる為に旧制中学で勉強をと、進路を考えた記憶があります。当時の中学生は今の生徒より体型も小さかったと思いますが、電車通学をするのに満員で窮屈なものですから、足を外へ投げ出した格好で窓の枠につかまり、電車の窓に腰掛けて通学した思い出があります。同級生の中には杉戸から幸手までの間にカーブがあるのですが、そこで油断して落ちたものもいましたが、身が軽かったのでしょう大事にいたりませんでした。子供たちが窓にたくさん乗っているものですから、電車を遠くから見ると丸く見えたものです。
【高木】戦時中にもかかわらず、おだやかな日常があったのですね。軍人になる為に中学で勉強を!
【尾崎】そうですね。本当は好きな野球とか陸上を思いっきりやりたかったのですが、農家の長男でもあり、家の手伝いもしなければなりませんし、わがままを言える時代ではなかったのでしょうね。でも、上高野村の同級生で東大にストレートで合格した梅林寺君という人間がとても親しくしてくれ、いろいろな事を教えられ、また、楽しみながら田植えや稲刈りなども手伝ってくれたのです。そんな彼も10年前に若くして亡くなりましたが、物がない時代に、暖かい友情というものは何よりもかえがたいものであるということを身を持って教えられた思いです。
【高木】終戦で軍人にはなれませんでしたね。
【尾崎】そうですね。終戦後は失業者も多く職業安定所の役割が重要で、私も県庁に入り地方事務官になりました。主に失業保険の保険料を徴収する専門機関でした。その後、浦和、大宮、草加、川口と各職安を回り、県庁に戻って定年を迎えました。戦後の混乱期、そして高度成長期と現在に至るまでの大きな時代のうねりを雇用という観点から体験してきた感がありますね。現在は久喜にある「くきパートサテライト」において職業相談員としてパートに関する職業相談をしております。高齢化の波が押し寄せ、相談に来られる方は60才を過ぎた方が多く、「定年退職したがやることがないので何か仕事でも」といったケースでの相談が多く見られます。相談の多くは、人生相談的なものがほとんどで、体力は充分あるのに生きがいや趣味を持っていない方には高齢化社会は寂しいものがあるようです。しかし、60才を過ぎると職業を選択するのは大変厳しく、やることがないからと仕事を探すのなら、なるべく若いうちから趣味や生きがいを作っておく方がよいと思います。
【高木】そうですね。ご自分でも何か趣味を?
【尾崎】これから先は子供に迷惑をかけられませんから、健康管理も重要ですね。そのひとつとして、ぼけ防止にも効果があるのではと思っているのですが、30年近く囲碁を楽しんでいます。四段まで取得しましたが、幸手囲碁クラブではより強い人が多く、その人達に少しでも近づけるよう努力しております。囲碁は戦略や戦法がありますし、相手によって打ち方も変わります、頭の体操ですね。また、上高野という地域はスポーツ関係が盛んな所で、野球やソフトボールの育成に上高野支部で、かれこれ十二、三年お手伝いをさせていただき、ちょうど60才のときに60才以上の人で構成する幸手シニアソフトボールクラブが出来ましたので、そちらに参加して今年で6年目です。シニアクラブでは全国大会を目指しており、昨年は県大会で準優勝したんですよ。メンバーも30名ほどおり、70才でも矍鑠としてプレーしている姿をみると、私も今年65才になるのですが、まだまだ、鼻たれ小僧だなと思ってしまいます。趣味とは違いますが、4月になると朝5時に起きて5時半頃から水田の世話が始まります。昔は一丁ちかくの稲作をしていましたが、現在は田植えと稲刈りは頼んでしまい、自分のところで食べる分だけ作っております。それでも、昔から「農の五月」と言って5、6、7月は目が離せない季節です。自分の畑も作っており、家内がそこの手入れをして、新鮮な旬の野菜を自家製でいただいています。これも、健康管理のひとつでしょうかね。
【高木】若さの秘訣ですね。地元では選挙管理委員などのお仕事もされているとか?
【尾崎】選挙管理委員だけではありませんが、公の立場で地域に役立てることは大変光栄と思っております。特に地域や狭いエリアではコミュニケーションが大切ですね。仕事柄、よろず相談のようなことが長かったせいか、人の話を真剣に聞いてあげることの大切さを痛感しております。我が家でも、よく家族で話をしますが、親子であれ、職業相談であれ、真剣に話を聞いてあげないといけません。そして、自分達の失敗談を活かしてもらうことです。職業相談などは落ち込んでいるケースも多く、希望を持たせることの重要性を感じています。希望を持っている人とそうでない人では顔の張りが違いますよ。
【高木】希望を持つことで随分違いますよね。それでは、お友達をご紹介下さい。
【尾崎】先程お話しました幸手シニアソフトボールでご一緒させて頂いている大先輩の白田善次郎さんを紹介致します。白田さんは現在72才で、年齢を感じさせないプレーをされており、人生のお手本と思っています。また、ボーイスカウトにも長く貢献されており、その他のボランテイア団体でも活躍されております。
【高木】ありがとうございました。これからも、職業相談を通じて生きがいを伝えて欲しいと思います。シニアソフトボールでの全国大会進出目指してがんばって下さい。
(健康の為、久喜の職場までは毎日自転車で通っているそうで、らせん型の自転車歩道橋も乗ったまま登れるうちは、現役を引退しないと健康管理に気を使われておりました。)