1998年5月3日



 ゴールデンウィークもちょうど半分の今日は憲法記念日、お休みの方々には楽しいレジャーやスポーツ等を楽しんでいることと思います。本日の友達の輪には民生委員を通じての友人ということで朝倉セツさんにご紹介いただきました幸手市東にお住まいの「スーパーマスダ」を経営されております増田辰夫さんにお話を伺ってまいりました。増田さんはボランテイア団体「いづみ会」も主宰されております。

スーパーマスダ オーナー
いづみの会
会長 増田 辰夫さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】こんにちは。朝倉さんから民生委員でご一緒と伺ってまいりました。民生委員さんってどんなお仕事をするのですか?

【増田(敬称略)】民生委員は今年で18年目になりますが、私が係わった当初は生活保護が主な仕事だったのですが、最近では児童、幼児に対する虐待や、高齢化社会になり老人の一人暮らし、障害を持った方たちの支援といった見守りが主になってきています。ですから、民生委員には地域担当民生委員と主任児童委員がおります。一人暮らしの方々は何人いるかとか、その人の健康状態はどうかとか、プライベートな部分も多々ありますので「気に掛けること」が私たちの努めです。

【高木】気に掛けることですか。

地域と一体
  子どもたちに刺激され

【増田】幸手には現在72名の民生委員さんが、地域と一体となった活動が求められるので、毎年、10月から12月には世帯調査をしています。以前のことですが、福祉施設に車椅子を贈るために、緑台小のJRCがアルミ缶を集めている文章を見たのです。小学生の頃から福祉教育を実践し、感心していた寒いある朝、カラン、カランと音をたてながら、アルミ缶の入った袋を提げて登校する子どもたちが目にとまりました。そこで、「よし!私たちも子どもたちの邪魔にならない範囲で手伝ってあげよう。」と東1丁目の老人会に話をしたのです。そして、早速アルミ缶の回収運動がはじまりました。

【高木】子どもたちの活動に刺激されたのですね。

「ごくろうさま」と
   「儲かるかい」?!

【増田】この活動は、捨てればただのゴミですが、資源回収として、ゴミの減量にもなり、街の美化や、物を大事にすること、福祉教育など、子どもたちの健全育成にとても良いことと思ったのです。実際に地域が一体となって回収作業を行なうとずいぶん集まるもので、町内に回覧を回し、集荷場所を3ヵ所設置し、キャスターの付いたカゴを置いて集めました。

【高木】作業はどうでしたか?

【増田】はじめはゴミ袋を開けて手を入れるのが恥ずかしくて、下を向いたまま回りを見ることも出来なかったのですが、福祉のためにボランテイアをやっているのだと自分に言い聞かせました。また、外で行なう作業ですから、雨の日、暑い日、寒さや風には苦労させられます。今年も桜まつりで権現堂は盛況でしたが、このシーズンには夜桜を楽しむ人たちが出す空缶が相当量になるのです。回収を始めた頃でしたが、桜土手でアルミ缶を集めていたときに、通りかかった酔ったおやじさんに「儲かるかい?」と声を掛けられたときは大変悲しい思いをしましたが、別の方に「ご苦労さまです」と言われて元気を出した思い出があります。そして、回収の収益で子どもたちから幸手市社会福祉協議会に車椅子が贈られたという話を聞き、地域が一体となった成果に感激しました。これからも子どもたちの健全育成や社会的弱者に役立つ活動の輪を広げたいと思ったのです。

地域の輪と
  私たちの役割

【高木】昨今、少年犯罪がよく取り上げられ、学校、家庭、地域の連携が必要と言われますが、こういったつながりが大切ですね。

【増田】そうですね。この活動をしていて感じたことですが、私たちの役割のひとつとして、地域でのパイプ役があると思ったのです。現在、各中学校にはさわやか相談員とボランテイア相談員という方々がおりますが、昨年のことですが、初めて、さわやか相談員、ボランテイア相談員、それに主任児童委員が加わり会合が持たれました。今までありそうでなかった会合ですが、「地域との協力」と言う漠然としたものが、この会合の中で見えてきた感を受けました。

【高木】いづみの会という会を主宰されているとか?

笑顔を贈る
  いづみの会から

【増田】子どもたちの邪魔にならないように手伝ってきたアルミ缶回収ですが、あまり係わると子どもたちの主体性あるボランテイア精神を損なうのでは、という思いがあり、また、せっかく芽生えた地域のボランテイアなので、回収作業で何らかの貢献ができないものかと模索したんです。民生委員という仕事の中で社会的に弱い立場の方たちと交流をする機会があります。この地域にはれんげそう作業所、あやめ寮、幸手学園、さくらの里といった施設があり、アルミ缶を売却した売上金で、楽しんでもらおうと考えたのです。もちつきをしたり、夏祭にはスイカを購入してみんなで食べたり、日頃の食事の材料にと、じゃがいもなどをプレゼントしたのです。そしたら、施設の子どもたちはとっても喜んでくれて、本当に笑顔が素晴らしいのですね。空缶回収に弾みがついた思いでした。「いづみ会」は主にこういう事業を行なっているのです。現在12名で運営していますが、多くの方々にご協力頂ければと思います。紙面を利用させて頂ければと思いますが、ご協力頂ける方は、増田辰夫(43・3055)佐々木英夫(43・1455)田中義勇(42・3734)まで電話を下さい。

【高木】趣味などは?

【増田】若いときはソフトボールなどのスポーツを何でもしたのですが、現在はゲートボールと社交ダンスがもっぱらの趣味ですね。でも、いづみの会や民生委員を通じて、一人暮らしの老人など社会的な弱者と向かい合うことが多いものですので、その人たちに夢を与えられたら、喜んでもらえたらという気持ちのほうを今は大切にしたいと思っています。

【高木】素晴らしいですね。では、お友達をご紹介下さい。

【増田】いづみの会の副会長の田中義勇さんを紹介いたします。田中さんは幸手市有形文化財の大杉ばやし保存会会長も務め、後継者育成のひとつとして行幸小学校で郷土芸能を指導しています。

【高木】ありがとうございます。これからもアルミ缶回収から生れる優しさを大切にして頂きたいと思います。

(取材にお邪魔した日も、増田さんの庭には大きなアルミ缶入りのビニール袋がたくさん置いてありました。何気なく捨てられているアルミ缶から優しさを生み出す人たちの存在を改めて感じました。がんばれ、いづみの会!)

[Image :logo.jpg]