1998年6月14日



 このところ雨の日が多くなり、水路の水かさも増え、梅雨入り間近という今日この頃です。今回の友達の輪には橘書道会の印田衛さんからご紹介いただいたカメラの秀栄オーナーの石川光行さんにご登場いただきます。

カメラの秀栄
オーナー 石川 光行さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】印田さんから文化団体連合会でご一緒と伺いましたが。

【石川(敬称略)】幸手市文化団体連合会で幹事を務めており、印田さんは書の世界で活躍しており、私は写真をやっております。職業も写真店の経営ですが、写真を撮ることが大好きで、いろいろな展覧会に作品を出品しています。

【高木】カメラの秀栄さんのオーナーということですが、ずーっとこの地でご商売を?

【石川】私は春日部の生まれで、昭和20年頃でしたが、都内の写真材料専門の卸会社に勤めていました。当時の写真といえば、白黒やセピアが中心で、10年くらい勤めた頃でしたね、仕事に自信がついてきたのでしょう、社長に、写真店を経営したらどうだろうと、自分の考えを話したのです。当時の社長は「そう言うなら、やってみよう」と決断し、「君に任せる」と言って、私が店長に指名され、鴬谷で直営店が開店したのです。

卸から小売へ
  その発想が独立へ

【高木】卸業から小売業へ業務を拡大したのですね。

【石川】そうですね。順調に5年くらい経過し、経営にも自信がつき、自分でも写真店経営という事業に興味が沸いてきたものですから、春日部で独立開業しようと計画を練ったのです。ところが、春日部から通う同僚に自分も開業したいから、他の場所でと懇願されたのです。同僚の父親が春日部でメリヤス工場を経営していた関係で、当時メリヤス工場の多かった幸手に、地の利があるのでいい場所を探してあげようと久喜新道の義語家さんの近くで開店したのです。今は北1丁目の大正新道沿いに移っていますが、開店当時はショーケース1本だけのとても小さなお店でした。それでも、当時は写真専門店が珍しく、技術も評価され、また、近隣になかったものですから遠くからもお客さんが来てくれました。当時の読売新聞にも町の写真屋さんと紹介されました。古い話ですが、昭和48年に中央公民館が開館し、写真教室を開いたのですが、その時、講師も務めて以来、公民館とのお付き合いも長いものになりました。

サギや鶴など
  野鳥の写真は専門的

【高木】写真はいつ頃から興味を持ったのですか?

【石川】若いころから好きでしたね。特に動くものが好きで、サギや鶴などの野鳥はよく撮りました。自分の実力を試すつもりではなかったのですが、写真を本格的に始め、早いうちからコンテストに作品を出品しました。今では毎年二科展に出品しています。もちろん、作品も野鳥が多いものですから、二科展の友人からもサギや鶴などの写真は、石川さんが専門家と期待されてしまい、野鳥撮影という使命感を強く感じているところです。ですから、今年だけでも冬の鶴を撮影に2度ほど北海道へ撮影取材に行ってきました。北海道のクッチャロ湖では2万羽の白鳥やカモがあふれるくらいいましたね。

日本におけるフランス年
      展覧会出品の依頼

【高木】二科展以外に作品は出すのですか。

【石川】先週のことでしたが、突然、横浜のみらい博から電話を頂きました。今年は「日本におけるフランス年」ということで、各地でフランスの催し物が開催されておりますが、横浜のみらい博でも「日仏現代美術博」と称し、8月上旬に絵や写真などの作品展があるそうなのです。その主催者である、フランス芸術学士院の理事長でもあるクリスチャン・ラングロア氏が二科展の私の作品を見て、みらい博に作品を出品して欲しいというのです。とても光栄な話ですが、あまりにも急な事で作品の準備が出来ないのでお断りしようと思っています。作品展はただ出品すればいいというものではなく、テーマに沿って作品を創りますし、展示スペースに合わせてサイズや構図を焼き直しますので二科展の作品をそのまま持ち込むことは難しいのです。また、埼玉二科展がその直前に開催され時間的にも厳しいのです。せめて、1年間の準備期間があれば良いのですが。

技術より
  感性とネバリ

【高木】作品創りも大変そうですね?

【石川】人間には欲というものがあり、ワンショットのために千枚以上も撮影したこともあります。もっと良いものが撮れないかと被写体を狙い、時間が許せばもっと撮ってしまうのですが、期日が迫ってきてその中から作品を決めます。野鳥の撮影など、ほんの一瞬のしぐさに感動がありますので、かなり遠い所から望遠で巣作りや子育てのワンシーンを撮るのです。技術も必要ですがものを見る感性とネバリが大切ですね。

【高木】お客さんが持ち込まれた写真などを見てどうですか?

【石川】ときどき、素晴らしいものを見かけますよ。そういう場合は大きく伸ばしたり、こうすればより良い作品になりますよとアドバイスしてあげます。作品展に出品して賞を獲られた方もいらっしゃいます。また、白鳥の写真などを見て、その現場に連れて行ってあげとても感激されました。たいてい、それから写真にのめり込みますね。(笑い)でも、これからも写真を撮りつづけ、多くの人たちに写真の魅力を伝えていきたいと思っています。自分は撮られるより撮るほうでいたいですね。

【高木】では、お友達をご紹介下さい。

【石川】古くからの写真仲間で五霞町に住んでいる鈴木理一さんを紹介いたします。一緒にたくさんの写真を撮ってきた良き友人です。

【高木】ありがとうございました。これからも、感性あふれる写真を撮り続けて下さい。ご活躍をご期待いたします。

(店内には二科展で賞を獲ったサギの家族が収まった写真パネルが飾ってありました。親サギの手前で子サギ二羽がクチバシを重ねる一瞬のしぐさが、印象的なワンショットでした。)

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