1998年8月23日



 夏休みも残すところ1週間となり、まだまだ残暑厳しい今日この頃ですが、本日の友達の輪には「寿泉」オーナー飯泉国男さんから紹介頂いた、東5丁目で茶道教室を開かれている小林千代子さんにお話を伺ってまいりました。

茶道家
小林 千代子さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】飯泉さんからお客様でもあり、親しい友人と伺ってまいりました。

初釜の懐石を
    アドバイス

【小林(敬称略)】「寿泉」さんの飯泉さんとは深いご縁があるのです。「寿泉」さんがこちらに来る以前から知っていたこともありますが、私はお茶の教室を開いているのですが、毎年1月の上旬に初釜というお茶会を開くのです。その際、主催者である私の方で、茶道では亭主というのですが、その亭主がお招きしたお客様におもてなしのお料理をお出しするのです。懐石を手料理でお出しするのですが、プロの料理人ではありませんので 、メニューに思案しておりましたところ、行きつけの「寿泉」さんでいろいろとアドバイスや献立を教えて頂いたのです。それ以来、毎年の初釜には「寿泉」さん指導の懐石が並ぶようになり、お客様にも好評なんです。また、「寿泉」さんのお客さんで幸手高校の先生がいらしたのですが、お茶がやりたいと教室に紹介いただいたり、本当にお世話になっております。

【高木】初釜ですか。茶道はずいぶん古くから?

ご主人が薦めた
    自分の時間

【小林】私は県の職員だった主人のもと、専業主婦として家事をまかされ、仕事が好きだったものですから、内職をやったりして日々を送っておりました。そんなある時、主人から表に出て自分のやりたい事をやってみたらと市の公民館講座を薦められたのです。ちょうどお茶やお花をやってみたいなと思っておりましたので、主人の薦めもあって茶道講座を受ける事にしたのです。講座では先生からお茶は点てるだけではなく、歩き方やふすまの開け方、飲み方など深いものがあることを伺い、改めて日本の文化や伝統を感じたものでした。この茶室も主人が建ててくれたもので、掛け軸やお花もお茶の心をもってあつらえております。今では茶道教室を開きお茶が私の生活の柱になっていることを思うと自分の時間を作るきっかけをくれた主人に感謝しています。

【高木】やさしいご主人ですね。

やさしいご主人に
   今まで幸せすぎた

【小林】主人は54才で亡くなったのですが、県の農業改良普及員という役職で県内を回っておりました。夢は家を建てて茶室を作るということで、昭和59年にこの茶室が完成しましたが、その2年後にあまりにも若く亡くなってしまいました。主人は私のすることにはとても協力をしてくれ、月曜日のお茶の教室には息子の嫁をお茶の教室に入れるために、仕事を速やかに切り上げまっすぐ帰宅して、食事を作ってくれたりもしました。また、初釜の時などは、懐石料理を作る事からお出しすることまでのすべてを仕切ってくれたのです。ですから、私はお客様とお話をしてればいいだけで、主人が亡くなって娘から「お母さんは今まで幸せ過ぎた。」と言われ、本当に実感しました。ですから、主人にはスポーツもいろいろさせていただき、亡くなる1年前には子どもたちも大学を卒業したのだから「おまえもゴルフでもやれば」と言われてスコアも100を切るところまで一緒に楽しんだのですが、亡くなってからはゴルフをやる機会も減ってしまいました。

【高木】ご主人あっての小林さんですね。

やってるうちに
    名前が五つ

【小林】本当にそうだと思いました。主人の影響でしょうか、スポーツ以外にもいろいろさせていただき、自分でも忘れてしまう事があるのですが(笑い)名前だけで五つもいただきました。茶道は表千家より小林宗千、詩吟では小林錦鵬、お花は小林理千、大正琴は琴芳千、そして本名となっています。名前を使い分けて生活しているわけではないので、ほとんど使いませんが、いつのまにか増えていった名前です。現在は先生になった子どもたち夫婦と3人の孫に囲まれて生活していますが、主人が実践していた地域での活動ということで幸手婦人会の会長職を務めさせて頂いています。これも、回りの方々の協力がなければ出来ない事で、孫の面倒をみている時に婦人会で出掛けなければならないときなど、特にご近所のカスミ園さんの奥様には私の孫の面倒まで見てもらいました。本当に頭がさがる思いです。

【高木】公職もお忙しそうですね。

福祉や老人介護など
   ボランテイアをしたい

【小林】すべて、主人がやってきたことの継承と思っています。主人は地域の子供会を作ったり、地域交流のひとつとして、趣味のゴルフ会を作ったり、地域活動には積極的でした。私の夢みたいなものなのですが、勉強をしてボランテイアをしたいと思っているのです。それは、母や父が長く病院で寝ていた事もあり、老人介護や福祉の面でボランテイアの役割が重要だと感じるからです。婦人会でも敬老会などのお手伝いをしているのですが、幸手にも多くのボランテイアの存在を感じます。婦人会も高齢化してきており、私も自分たちのことのように感じております。

【高木】そうですね。それではお友達をご紹介下さい。

【小林】茶道教室にこられている方のお母さんで、市内で伏見屋酒店を経営されている土屋ひで子さんを紹介致します。いろいろな形で交友があるお友達です。

【高木】ありがとうございました。これからも婦人会や茶道教室をはじめとするそれぞれのフィールドでご活躍されますようご期待致します。

(とても明るくて常に今は亡きご主人の存在を感じさせる素敵な方でした。そのご主人が作られた茶室には「花心」と書かれた掛け軸とさりげなく飾られたお花が日本の文化を伝えているようでした。)

[Image :logo.jpg]