1998年11月1日



 山々の木々も色づきすっかり秋らしくなりました。この季節、食欲の秋でもあり収穫の秋でもあります。本日の友達の輪には東内科小児科医院院長の東先生からご紹介いただきました「たねなしユズ」の栽培と販売を手掛けている唐澤清一さんに登場願います。

埼玉県バドミントン協会副会長
シトロンKARASAWA
代表者 唐澤 清一さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】 東さんから高校時代の運動部顧問と伺ってきました。
唐澤(敬称略) 彼は陸上部員で私はバドミントン部の顧問でしたから直接指導をした訳ではありません。しかし、私が赴任したのは二十八才の時で彼は高校三年生でした。若く血の気も多かったのでしょうか、学校長から「運動部を持て」と言われて当時では珍しいバドミントン部を受け持ったのです。そんな環境でしたので教師と生徒という事と同じ運動部という事ことで記憶に残ったのでしょう。また、血圧が高いので東さんのお父さんにはかかりつけ医としてお世話になってました。現在では東さん本人に診察していただいています。

今なら「しごき」
でも、ついてきた時代

【高木】 そうですか。熱血教師だったのですね。

【唐澤】熱血?運動部は結果がすべてですから、県大会で勝ち全国大会へ進むために運動部全体で競っていましたね。ですから、私も若さにまかせてむちゃくちゃに指導していました。今で言うと「しごき」ですね。(笑い)でも、生徒たちも私のような指導についてきてくれた時代だったのですね。今のようなゲームセンターもないですし、生徒たちにも楽しみが少なかったのでしょうね。おかげで生徒と共に歩んだバドミントンも今年で三十九年目になりました。

【高木】今でも現役なんですか?

バドミントンは県副会長
  国際試合を幸手に誘致

【唐澤】四十代後半になってからは体力も続かなくなり、もっぱら口だけですね。(笑い)それと、週に四日は私立高校で教鞭を執っており、また、ユズの生産もしてますから残りの三日間はバドミントン以外でも忙しい生活です。埼玉県バドミントン協会では副会長を務めております関係で大きな大会などにも係わっております。ご存知の事かと思いますが、昨年アスカル幸手で日本リーグも開催しました。また、先月ですが韓国バドミントンチームのトップクラスでもありオリンピック代表選手でもあるメンバーらが来日し、日本のトップクラスとの親善試合もアスカル幸手で開催されました。迫力のある試合でしたよ。

【高木】地域で大きな大会も開催されていたのですね。ところでユズの生産をされているとか?

父が疎開先の
  栃木でユズ畑

【唐澤】約二十七年前ですが、栃木市星野町で父がユズ栽培を始めたのです。もともと父は東京で家族と暮らし教員をしていたのですが、太平洋戦争の時に家族を栃木へ疎開させたのです。しかし、東京大空襲により家を失い疎開している家族のところに暮らしを移したのです。幸いにも栃木で教師の道を紹介いただき定年まで勤め、その後、何かやりたいと六十五才の時にユズ栽培を始めたのです。私はその父のユズ栽培を受け継いだものです。

【高木】なんでユズだったのですか?

「守ってくれ」と
  父から遺言

【唐澤】父の夢だったのでしょう。定年後はのんびりと無農薬果実の有機栽培をしたいと思っていたようです。年令も考慮し手入れの大変なリンゴなどは避け、比較的労力のかからない柑橘系の果実を選択していました。しかし、柑橘系の果実は暖地栽培で、栃木の地で栽培できるのかどうか不安を持っていたのです。全国各地の産地十五〜十六ヵ所回って四国徳島で「たねなしユズ」に出会ったのです。しかし、桃栗三年柿八年といいますがユズは実がなるまで十八年かかり、接ぎ木をしても十年から十五年かかります。ちょうど収穫出来るようになった八十才に父は亡くなりました。遺言ではありませんが「俺が死んだ後はユズ栽培を継いで守ってくれ」と言われてましたので私も父と同じ生き方を選んだのです。

収穫時は
   完全武装

【高木】手入れも大変でしょうね。

【唐澤】ユズは放っておくと木が疲れて一年おきにしか実をつけないのです。ですから、摘果して毎年均等に実をつけるようにするのです。その手入れ以外では今が一番忙しい時期ですね。ユズは年に一度、十月下旬から十一月上旬に収穫をします。ユズの枝には鋭いトゲが出ていて実を収穫するのに枝の中へと分け入りますので防備をするのです。アメ横で買った皮ジャンを着て、革の手袋とヘルメットでプロテクトして、物凄い格好ですよ。友達がユズ狩りをしたいと言うものですから、格好の話をしましたら驚いていました。みかん狩のイメージなんですね。(笑い)収穫時は家族総出で協力してもらいますが、収穫した後のユズで焼き鳥や焼き肉、焼き魚に絞ったり、焼酎で割ったりと、たねなしユズはとってもおいしいと感謝されますが、実際「きつい」と思っているようです。息子も「こんなのやりたくないよ」と言っています。

口コミで徐々に広がり
   焼酎派にはおすすめ

【高木】どのくらい生産され、どこで購入できるのですか。

【唐澤】二千平米の畑に約二百本ほどあります。でも、ユズは種があるものという認識が強く、たねなしユズは出来損ないのように見られがちなんです。たねなしの方が果汁も多く一度召し上がるとそのマイルドな味わいは絶品なんですが、まだまだ流通量が少ないので市場では認知されていないのです。でも、宇都宮ではたねなしユズの生産農家が増えて宇都宮の市場では人気も出始めています。私の場合は大量生産ではありませんし、徐々にですが口コミで広がっている最中です。焼酎派にはオンザロックやお湯割にたねなしユズを入れると最高ですよ。八百屋さんやスーパーでも宇都宮のようにたねなしユズを認知してくれればいいのですが。購入希望の方は0480(42)2667(FAXも同じ)へ電話かFAXでお申し込み下さい。

【高木】飲んでみたくなりました。ではお友達をご紹介下さい。

【唐澤】高校のバドミントン部時代はバドミントン部自体が少なかった事もあり、他校のバドミントン部員とも交流がありました。現在もバドミントンを通じて地域で活躍している緑台の吉岡梢さんを紹介します。

【高木】ありがとうございます。これからも、ユズとバドミントンで夢を広げて下さい。(取材後頂いたユズで焼酎を割ってみました。思ったより酸っぱくなく、ほどよい酸味と香りがとても新鮮でした。)

[Image :logo.jpg]