1998年11月29日



赤や緑のクリスマスカラーで街も染まり、鐘の音やBGMがより一層気持ちを盛り上げる季節がやってきました。12月まであと二日、あっと言う間の年の瀬に、なんて早い一年だったのでしょうと思う方も多いはず。不景気、不景気と一年を締めくくらず、何事にも前向きに歩みたいものですね。今回の友達の輪にはバドミントンクラブマーガレットを主宰する吉岡梢さんからご紹介いただきました久喜市栗原にお住まいで幸手市役所にお勤めの藤河陽子さんにお話を伺ってまいりました。

幸手市役所
市民課 藤河 陽子さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】吉岡さんから留学経験をお持ちと伺いましたが。

獣医になりたくて
     それでドイツ語を専攻

【藤河 (敬称略)】吉岡さんのお庭に犬のコロちゃんを入れたこともそうですが、私は小さい頃から動物が好きで、将来は外国で獣医になりたいと考えていました。そして、単純なんですが獣医になるために語学力が必要と考え、京都におりましたので京都外語大学のドイツ語学科を専攻したのです。そして、大学二年のとき一ヶ月間のドイツホームステイをしたのです。それは、大学のカリキュラムのひとつとして毎年行われているものなのです。マンハイムという小さな街で大学の三十名と共に過ごしました。それがきっかけです。

【高木】それで留学ですね。ご両親は心配されませんでしたか?費用もかかったでしょうね。

父の奨めで
  ドイツ留学

【藤河】実は積極的に留学を奨めたのは父の方なんです。私はどちらかというと乗り気でなかったのですが、父は親子というより私に一人の人間として接してくれ、これからの時代は国際的な視野に立った考え方が大切であり、いろいろな経験をしておいたほうが良いとアドバイスしてくれました。ですから、父のアドバイスがなかったら留学はしなかったでしょうね。また、日本では考えられませんが、どこの国の留学生であってもドイツの国立大学は学費が無料なんです。そして、生活も日本の留学生と同室で寮に入り、なるべく自炊して日本食を作りました。料理の上手な学生にはその国の料理をごちそうになったり、おかげで多国籍のたくさんの友人が出来ました。私も時々ちらし寿司を作りましたが友達には好評でした。また、京都外語大学から奨学金もいただきましたので実質一ヶ月六〜七万円の生活費で過ごせました。

【高木】経済的な生活実践ですね。ドイツはいかがでしたか?

ドイツ人の人柄と
  気質にふれて

【藤河】最初のホームステイのときにドイツ人の人柄にふれて驚いたことがあるのです。それは、物事をはっきりと言うことです。たとえば、食事に行って「何を食べる?」と聞かれて、「何でもいいよ」と決められないことは日本人にはよくあることです。日本では合わせているつもりなのですが、ドイツでは通用しません。そして、物を大切にするということです。家具などは一生使いますね。また、どんな人も自分の生れた故郷を大切にする事です。話をしていても自分の故郷を決して悪くは言いませんし、むしろ、誇りを持って自慢をするのです。市内を案内してもらっても、「ここは城壁跡で…」などすべての人は生れ故郷が一番と感じています。初めて聞いた日本人なら「そんなに良いところなのか」と感心してしまい、きっと行きたくなってしまいます。それほど、故郷を大切に思っているのです。

【高木】なるほど。すばらしい郷土愛ですね。日本をどう感じましたか。

幸手が一番近い
  自分のふるさと

【藤河】「ふるさとを持っている人はいいなあ」とうらやましく思えました。そして、私にとっての故郷はどこなんだろうと思ったのです。父は仕事の関係で転勤があり、その為、私達家族も引越しが多く、大阪で生まれて、東京、九州、そして幸手に住居を構え、その後京都へと移りました。大学入学当事は京都でしたので京都外語大学に入ったのですが、父の転勤で家族は幸手に戻り三年生からは一人で京都暮らしをしていました。そして、ドイツ留学後はそのまま幸手に戻り「これから何をしようかな」と考えました。獣医への夢からドイツ留学で感じた「ふるさとを思う気持ち」というものが私にとって大きなものになりました。そこに幸手市で市職員採用の案内があったのです。早速「これだ」と思い応募しました。私にとっては幸手市が一番ふるさとに近いところだったのです。

【高木】留学で足元に眼が行き、それで市職員になられたのですね。夢などは!

自分にしか
   出来ないこと

【藤河】そうですね。学生時代に時々帰る幸手市の変化に「がんばっているなあ」という印象がありました。私が採用された年度には市長が市民サービスの窓口を良くしようとがんばっている時期で、女性初の市民課長を先頭に一生懸命でした。私も社会人一年生で応対やら言葉使いに苦労しました。ですから入った年は市役所って外から見るより中は大変なんだなとも思いました。甘く考えていたのかも知れませんね。(笑い)でも自分にしか出来ないことを見つけようという思いで毎日を精一杯歩んでいます。ドイツのように自分のふるさとを誇れるような環境になればいいですね。自分の夢ですか?…現在、探している最中です。きっと、見つかると思います。

【高木】そうですね。それではお友達をご紹介下さい。

【藤河】幸手市内の中学校で英語の教師をされているデイビットさんを紹介致します。デイビットさんは私たち夫婦の共通の友人で、結婚式にもご出席いただきました。日本に来て三年目ですが、日本語も堪能で子どもたちに人気の先生です。

【高木】本日はどうもありがとうございました。ドイツで感じた「ふるさと感」を幸手という地域に活かして欲しいと思います。益々のご活躍を期待致します。

(自分の街を大切にしたいという思いと、自分に何が出来るかという考えをしっかり持たれた方でした。ご主人とは今年の三月にご結婚された新婚ほやほや、明るく楽しくが家庭のモットーとか、素敵なカップルに幸多かれ。)

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