1998年12月13日



今日はホノルルマラソンが開催される日。海外でのメジャーなマラソンとして日本からも多くのランナーが参加しています。そして、国際交流のひとつとして、さっそうと走るランナーには沿道から大きな声援も送られ、ニューイヤーに向けてのカウントダウンのようにゴールでの感動が待っているそうです。今回の友達の輪には幸手市役所にお勤めの藤河陽子さんにご紹介いただきました語学指導助手のデビット・ロールバックさんにお話を伺ってまいりました。デビットさんは日本に来られて三年目だそうで市内の中学校で子どもたちに生きた英語を指導しています。

語学指導助手
デビット・ロールバックさん
本紙取材 高木 康夫

【高木】藤河さんからALTとして子供たちに大人気と伺っておりますが?ALTって何ですか?

【デビット(敬称略)】アシスタント・ラングゥエージ・ティーチャーの略で、日本では語学指導助手という名称で呼ばれています。また、英語だけの語学指導助手はAET(アシスタント・イングリッシュ・ティーチャー)とも呼ばれています。英語の指導の場合はどちらでも正しいのですが、ドイツ語やフランス語等の他の語学指導をされている方はALT と呼ばれます。

【高木】なるほど。そういう意味だったのですね。日本の子供たちはどうですか?

【デビット】現在幸手中学校と東中学校で指導していますが、授業では英語のゲームをやったりロールプレーイングをしたりしています。日本の中学生は恥かしがり屋さんが多いですね。でも、皆さんとても親切です。もっと、もっと先生に話しかけてくれるとうれしいですね。

香港で暮らし
   アジアの情報を意識

【高木】そうですか。日本に来られて三年目だそうですが、日本に関心があったのですか?

【デビット】平成八年七月に来日し今年の七月で三年目です。私の父はキャセイパシフィックに勤務しており、フライトエンジニアとしてコクピットで仕事をしています。それで、私は家族と共に十二才から十六才まで香港に住んでいたのです。香港はアジアの情報が豊富で、特に日本のことについては学ぶ機会が多く、その頃から日本に興味を持つようになりました。その後、母国のオーストラリアに戻り、オーストラリアの大学を卒業しました。しかし、大学を卒業して何をしたいのか考え、日本への関心もありましたので半年ほど日本語の勉強をしたのです。ちょうどその頃、オーストラリアの新聞広告に載った日本大使館の募集広告に目が行きました。

日本大使館が
   新聞に求人広告

【高木】日本大使館の募集広告ですか?

【デビット】そうです。日本大使館が日本でのALTの募集をオーストラリアのシドニーで行ったのです。平成八年度だけで、百名ほどの募集があり私も面接を受けて採用されました。同時期に採用されたALTの人たちは日本各地で語学指導助手の仕事をしています。私は半年間程度しか日本語の勉強をしていませんでしたから、日本に来た時はほとんど日本語が出来ませんでした。ですから、日本に着いた時は不安がいっぱいでした。

【高木】幸手に来ての印象は?

国際的な時代には
   カジュアルな付き合い

【デビット】私にとっての日本のイメージは東京のような場所のイメージでしたので、幸手に来た時はとてもびっくりしました。でも、ALTの先輩が市内やいろいろなところを案内してくれ、市役所の人たちもみんなやさしいので、街並みのイメージこそ違いますが日本の人たちのイメージは期待通りでした。でも、私たち外国人に対してもっと普通に接して欲しいと思います。例えば「オーストラリアから来たデビットさん」ではなく「デビット」と友達なんだ、と思ってほしい、これは、仕事でも同じことです。また、日本が国際化するということがアメリカ的になることと思っている人もいます。そうじゃなくて、日本の文化を大切にし、自分の文化も大切にして欲しいのです。私はオーストラリア人で、日本に居ますが日本人に見られたいと思っている訳ではありません。でも、「デビットさんは日本人みたい」と言われた時、とてもうれしく感じた時があります。それは、日本人と普通に付き合うことが出来、日本人の気持ちがわかるようになったからだと思うのです。国際的であればあるほどカジュアルな付き合いが必要ですね。 日本に残って  もっと日本を知りたい

【高木】なるほど。ところで将来の夢などは?

【デビット】ALTの仕事は一年契約です。でも、二回延長が認められますので最長三年間勤務出来るのです。来年の七月までが私にとっては最終の一年になるのですが、この仕事が終わっても日本に残って、日本語の通訳や翻訳などの仕事につきたいと思います。日本語が上手になったら日本の人たちともっと話をしたいと思っています。一番やってみたいことは日本人の気持ちや考え方や思いをわかる事ですね。それに、もっと日本の事も知りたいし、日本各地を旅行して見たいと思っています。

【高木】日本のどこをご覧になられましたか。

【デビット】日本に来て一年目に鎌倉に行ったのですが、ちょうど流鏑馬(やぶさめ)をやっており、昔の日本の装束を身にまとい、馬に乗りながら放つ矢には感動しました。また、京都にも行ってきましたが、ツーリスト的でしたから、もっとゆっくりと観てみたいと思っています。それと、北海道にはいつか行ってみたいと思っています。きれいな所と聞いていますから。埼玉でないところも観てみたいですね。

【高木】そうですか。(笑い)では、お友達を紹介してください。

【デビット】幸手市香日向にお住まいで英語の先生をしている長谷川信子さんを紹介いたします。

【高木】ありがとうございます。最後の一年間になるのでしょうが、市内の中学生に生の英語をご指導下さい。ご活躍を期待いたします。

(笑顔が素敵な好青年でした。お休みの日には友人とバドミントンをしたり、大宮や春日部に出掛け英語の雑誌や映画などを観ているそうです。特に映画では字幕を日本語の勉強に活かしているとか。うーん、さすが!)  

[Image :logo.jpg]