1998年12月27日



クリスマスも終わり一九九九年まであと五日となりました。さて、本年のトリをつとめていただくご登場はAETのディビットさんからご紹介頂きました香日向にお住まいで鷲宮町教育委員会の国際交流担当されております長谷川信子さんです。長谷川さんはディビットさんのようなAET(英語指導助手)のアドバイスなどをされているそうです。

鷲宮教育委員会  国際交流担当
長谷川 信子さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】デビットさんとはAETを通じてお友達になられたと伺っておりますが?

【長谷川(敬称略)】以前は幸手中学校で英語を教えたこともありました。現在、鷲宮教育委員会におります。AETの活用を含めた国際交流の担当ということで、埼葛エリアでデビットさんや他のAETの皆さんと交流があります。AETの皆さんは日本の中学生に生きた英語の指導に来てますが、ほとんどの人たちは自国で教師経験がありません。ですから、私は教え方をアドバイスしたり、AETの皆さんの相談に応じたりしています。彼らの異文化体験をコミカルなストーリーにして埼玉新聞に連載したこともあるんですよ。自分では日本でのお母さん役と思っております。

【高木】なるほど。AETの活用ですか?

二〇〇二年
   小学校で英語教育

【長谷川】文部省の構想ですと、二〇〇二年には小学校に英語教育が導入されるようです。すでに、研究校には小学校に英語教育を導入しています。研究校ではありませんが鷲宮の五つの小学校でも将来の事を考え英語の指導チームを作って、年三日間だけですが英語教育を取り入れております。握手をしたり、笑ったり、目を見ながらあいさつしたり、それぞれ黒板は使わないで音から入るものですが、主に異文化を理解してもらうもので、そのプログラムも私が作ってます。試行錯誤で新しいものを生み出すことはなかなか大変なことです。

【高木】そんな計画があるのですか?どうして英語に興味を持ったのですか?

NHKラジオ講座で
       英語に興味

【長谷川】私は本が大好きで、小学生のときは世界文学大全集五〇冊を読んでいました。世界文学ですから外国の文学がほとんどで、外国の文化についても自然と受け入れていました。また、中一のときですがNHKのラジオ英語会話を聞いた時、当時の松本亮先生という方が社会問題なども話題にしていたのです。中学一年の英語といえば「これは本です」とか「トムの家です」といったどちらかというと単調な授業でしたので、このラジオ講座には興味を持ち、五〇円のテキストを購入しそれから十年間お世話になりました。中三のとき、私は学校長が外国人という英語の盛んな高校を受験したのですが、校長面接のとき私の発音が良かったようで「どこか外国に居たのですか?」と聞かれたことは自分の自信につながる印象深い思い出です。

【高木】どうしたら英語が上手になるのでしょう?

上達の秘訣
   どんどん恥ずかしがろう

【長谷川】ニューヨークにいった時のこと、現地の日本人ガイドが、引率していった生徒の質問に、英語が得意な人の前でも臆せずに話すことが英語の上達のコツと話してくれました。「どんどん恥ずかしがりなさい」とのアドバイスでした。私も同感です。子育てを終えたおかあさんたちや荒波にもまれているおばさんたちはあまり恥ずかしがらないし、話題も豊富なので、上達する可能性が一番高いと思います。それと、聞いて聞いて聞きまくることです。小さい子どもたちの耳の良さには驚いてしまいますよ。

【高木】先生にはなぜなったのですか?

銀行を三日で辞めて
         先生に

【長谷川】生きてる事自体が趣味といわれるほど趣味も多く、(笑い)歌が好きで、学生時代合唱団にも入っていました。なんでも出来るという思い込みも強い人間で、(笑い)ミュージカル歌手や先生になりたいと思っていました。しかし、教員試験に合格しても先生の空きがなく、銀行に勤めることにして、傍らミュージカル学校に通う予定にしました。銀行の研修も無事終え配属されて三日めのことでしたが、先生として臨時で採用できる話が舞い込み、銀行には申し訳ない事でしたが、三日で退職させていただき、先生になったのです。当然ミュージカル学校の掛け持ちは出来ないのであきらめました。

【高木】そうでしたか。夢などは?


【長谷川】英語教育が小学校に導入されると、担任の先生が英語も教えることになると思います。その時に、先生方に指導するトレーナーをやってみたいと思っています。それと、「フーテンの寅さん」が好きなんですが、日本の嫌なところもあの映画だとみんな良くなってしまうんですね。日本人のあたたかさや寅さん映画の良いところを理解してもらえるような国際交流に関わりたいと思います。今年のことですが、家族で幸手の桜を見にいったのです。そのときの美しさを高校生の娘の麦(むぎちゃん)が「この桜を植えた人たちは満開の桜を見る事なしにすでに亡いのだけれどその人たちのおかげでこうして私たちは楽しむことができる。命のつながりを感じる。」といったエッセイを書き、新聞の投書らんに掲載されました。その記事を読んだ文京区に住んでいる六十七才のおばあさんから「その桜を植えたのは、たぶん私の祖父だと思います。昔、そういう話を聞きました。」と手紙も頂きました。なにか、計り知れない喜びが桜を通じて我が娘にやってきた思いでしたね。もっともっと感性豊かな生き方を実践したいと思いますね。

【高木】素敵なお話ですね。では、お友達をご紹介下さい。

【長谷川】尾上麗奈さんを紹介致します。息子の高校時代の友人でかわいらしい方ですよ。私と大学も同じです。

【高木】ありがとうございました。これからも、地域の国際交流を通じて感性豊かな日本の心を伝えて下さい。

(とても、明るい方で楽しいご一家を感じさせて頂きました。お嬢さんの麦ちゃんは今年「海洋」というテーマで新聞のエッセイコンテストに応募され、見事日本一にもなられ、また、長谷川さんのご主人はイラストレイター、デザイナーとしてご活躍だそうで、埼玉県警のまがたまをアレンジしたキャラクターはご主人の作品だそうです。才能豊かなご一家です。)

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