1999年9月12日



酷暑と豪雨に泣かされた今年の夏も、九月に入ってからは朝夕過ごしやすくなり、赤とんぼが似合う季節になってまいりました。本日の友達の輪には幸手市教育長千葉金二さんにご紹介いただきました中川崎で夕づるというお店を経営されている小室良平さんにお話を伺ってまいりました。

夕づる
店主 小室 良平さん
本紙取材 高木 康夫

【高木】教育長の千葉さんから、クラシックカー仲間と伺ってまいりました。

【小室(敬称略)】千葉先生とはクラシックカー仲間でありますが、所有している車は四年違いの日産オースチンということで、故障時のパーツ流用など、なにかにつけこころ強い兄弟といったところです。そして、今年から週一回の書道教室の先生、師弟といった間柄です。今、手にしているピッケルは先生のガレージの建築に関わったときに譲りうけたものです。学生時代愛用の和かんじきとピッケルはおさがりですが、これまた兄弟です。この“友達の輪”の仲間にとお話がありましたが、僕にはどうもむいていないとお断りをしたつもりでしたが、再度受けなさいと言われたものですから、出させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

【高木】ご縁が深いのですね。また、ずいぶん古い車をお持ちですね。いつごろからクラシックカーに興味を持たれたのですか。

中学生時代に
町医者の車にひとめぼれ?

【小室】僕は信州の生まれで、昭和五十四年、二十年落ちの二台のポンコツ車とともに幸手に婿入りしました。(笑い)僕が育った信州は田舎でしたから、子どもの頃自家用車なんてあまり走ってなかったんです。初恋の同級生の家に唯一ピカピカの赤い日野コンテッサ900がありました。とても目立っていました。車を見るたびに「いつかこんな車に彼女と乗れたらな」という思いがありました。車が好きでしたので走っている時に古い車がガレージにあったりすると、のぞき込み、偶然保管されているコンテッサ900を発見したのです。そのコンテッサをオーナーの方にお願いしてなんとか譲っていただいたのが、本格的なクラッシクカーとの関わりですね。

【高木】二台とおっしゃると。

二十年落ちの車も
あれから二十年

【小室】もう一台は千葉さんと同じニッサンオースチンです。千葉さんのはニッサンオースチンA40サマーセットサルーンという車種でニッサンオースチンの初代になります。僕のはその二代目といったほうがわかりやすいと思いますが、A50という車種です。A50はノックダウン方式で五年間生産され、ニッサンが完全なる国産車を目指した原点の車で、その後、セドリックに移行していきました。実は二台とも同じオーナーの方から譲ってもらったものです、早いもので私のところへ来て二十年が過ぎようとしています。ですから、四十才ですね。

【高木】なるほど。毎年、市民祭りではクラシックカーフェステイバルが開催されますが。

ものを大切にする心を
つなぎたい

【小室】今年も十一月十四日(日)九時から開催されます。展示場にはアスカル幸手と東さくら通りが計画されてますが、今年はアスカル幸手と東さくら通りの会場を行ったり来たりと、何度か往復パレードをする予定です。その際には声を掛けていただければお好みのクラシックカーに乗せてくれると思いますよ。遠いところでは宮城県から参加されるオーナーの方や、二〇才代から七〇才代までとクラシックカーのオーナー層も広くそれぞれが手塩にかけた愛車を楽しませてくれるものと思っています。初めて買った車を三十三年間も大事に乗り続けている方もいますよ。物を大切にする心というものがクラシックカーを通じて子供たちに引き継げればと感じます。

【高木】クラシックカーファンのみならず、それは、楽しみですね。伺うところですと山登りの指導もされているとか?

四季折々を楽しむ
またぎ的山登り

【小室】僕はどちらかというと、もともと山育ちですから同じ山に何度も登って四季折々の山を堪能して知り尽くすタイプなんです。登山家のように百名山を登り尽くすというものではなく、またぎのフィーリングとでも言うのでしょうか、山とともに暮らす感覚で山登りをしていました。ですから、単独で登ることが多かったのですが、単独登山はとても危険ですので、幸手に来て幸手山岳会に入ったのです。そこで、市民ハイキングなどのお手伝いをしているうちに山登りの指導めいたこともするようになりました。最近では八月に志賀高原の本白根に「こまくさ」という高山植物が花を咲かせて群生しているものですから、ぶらっと登って見てきました。冬には沢づたいに登って自生のわさびを見つけたりと楽しんでおります。わさびは雪が積もっていても青々とその葉を雪の中から覗かせていますから、冬に見つけやすいのです。

【高木】なるほど。では、お友達をご紹介ください。

【小室】クラシックカーに関わって二〇年が経とうとしてますが、僕のクラシックカーの整備などに二〇年来協力いただいている金子自動車の金子松美さんを紹介いたします。金子さんは幸手山岳会のリーダーもされており、偶然にも趣味が一緒だった方です。僕の山登りとは違って百名山をめざして登られている方です。

【高木】ありがとうございました。これからも、クラシックカーに山登りにご活躍下さい。

(取材に際して、ずうずうしくも打ち立てのざるうどんを自生わさび、みょうがでごちそうになりました。きゅっとしまったこしの強いうどんに、わさびをのせて麺つゆにつけ、香りもいただく食べ方を小室さんから教えていただき、その味わい深さには久々にグルメになった思いでした。山登りでなければ見つけにくい自生のわさびをご自分で取りに行き、また、ご夫婦で仲良くクラシックカーでドライブと、なんでも、一生懸命な姿が印象的な方でした。なんだか私も、クラシックカーが欲しくなりました。)

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